
最新ポートランド• オレゴン通信──現地が語るSDGsと多様性
シニア×Z世代、共に築いた6万件の起業――ポートランド発『第二幕の知恵』とは?!

『引退後の人生』は、終わりではなく、新しい幕が開く瞬間。
この町で広がる風景は、日本社会にとってどんな未来図へとつながっていくのでしょうか。
セカンド・アクト。米国では、近年よく耳にする言葉です。
ベビーブーマー(団塊の世代)の人々が第一線を退いたあと、新たな挑戦や役割を担う「人生の第二幕」を意味します。
引退を「終わり」とせず、むしろ「新しい幕開け」として捉える発想が広がりを見せています。
背景には、人生100年時代を迎えた価値観の変化があります。
キャリアを積み重ねてきた人々が、定年後も学び直しや社会との関わりを求めているのです。
その舞台として注目されているのが、1964年にワシントンD.C.で誕生した全米組織の非営利団体SCORE。
SCOREとは、経験の学校であり知恵の宝庫。そして、そこに集うのは、キャリアを活かして未来を支えたいと願う人々です。
では、アメリカの人々はどのようにして人生の第二幕に生きがいを見いだし、次世代へ経験を引き渡しているのでしょうか。
そしてその姿は、日本にどんな未来のヒントを示してくれるのでしょうか。
さらなる答えを探るカギを、ポートランドから読み解いていきましょう。

引退の先にある『第二幕』― 6万件の起業を支える知恵のコミュニティ
SCOREは、全国のボランティアによって営まれる組織です。起業家や中小企業を支援し、新しい事業と雇用を生み出してきました。
2024年度だけで、6万件近い新規ビジネスが誕生。そこから14万人以上が新しい仕事を手にしています。
その仕事は、地域に根ざしたカフェやショップ。さらには、IT、教育、ヘルスケアといった、次世代を支える産業まで広がりを見せているのです。
ここで注目したいのは、SCOREのボランティアは、余裕があるから活動しているのではないという点。
多くの人は、キャリアで培った知識やスキルを次世代に手渡したい。その思いに突き動かされて活動しているのです。
そして、その思いは、自らの経験が未来の力へと変わる喜びとなり。同時に、『いまも社会の一員として生きている。』そんな、誇りと生きる目標へと繋がっています。
ここポートランド支局では、常時およそ50名のボランティアが活動中。
なかでも注目されるのが、CEOフォーラム。いわば、中小企業の経営者向けのサポートシステムです。
資金繰りや人材育成といった悩みを率直に語り合う――そこは、『同じ立場だからこそ言える本音』が飛び交う場です。
守秘義務があるからこそ安心して語れる。仲間同士が知恵を持ち寄り、支え合う姿は、まさに知のコミュニティ。時代が求める新しい学びのモデルではないでしょうか。
私たちはいま、シニア世代・ミレニアル世代・Z世代が共に働く、人類初の3世代勤労時代を生きています。
SCOREの現場では、その世代を超えた協力・協働が、日々の営みとして当たり前のように根づいているのです。
では、彼らがどのように若い世代を支え、同時に学んでいるのか。
次のページで、その姿をさらに掘り下げてみましょう。
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シニアとZ世代。まったく異なる価値観を持つ二つの世代が、なぜ共に学び合えるのか?
人生100年時代――定年後を生きがいに変える。日本へのヒントとは?

- 山本彌生
企画プロジェクト&視察コーディネーション会社PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社等を経てNYと東京にNPOを設立。2002年に当社起業。メディア・ビジネス・行政・学術・通訳の5分野を循環させる「独自のビジネスモデル」を構築。ビジネスを超えた "持続可能な" 関係作りに重きを置いている。日系メディア上のポートランド撮影は当社制作が多く、また業務提携先は多岐にわたる。
Facebook:Yayoi O. Yamamoto
Instagram:PDX_Coordinator
協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)