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最新ポートランド• オレゴン通信──現地が語るSDGsと多様性

山本彌生|アメリカ

シニア×Z世代、共に築いた6万件の起業――ポートランド発『第二幕の知恵』とは?!

newsweekjp_20250829014439.pngPhoto |Courtesy SCORE



シニアとZ
世代が出会う――未来をつなぐ学びのかたち

SCOREの魅力は、一方向の指導にとどまりません。そこにあるのは、Mutual Learning――相互に学び合う文化です。

シニア世代は、経営や組織づくりの知恵を伝え、若い起業家を後押し。その一方で、自らもSNSやAIといった新しい知識を学ぶ機会を得ています。

若い世代を支えながら、自分も新しい刺激を受けて成長していく。

その有機的な関係こそが、三世代が共に未来を築いていく基なのです。

そして、この活動を支えているのが「S・L・A・T・E」と呼ばれる独自の指導法。

S =判断を保留する(Stop)

L =耳を傾け、学ぶ(Listen)

A =状況を整理し、分析する(Assess)

T =試してみて、道具とともに伝える(Test)

E =夢を励ます(Encourage)

つまり、相手を尊重しながら共に考え、学び、そして夢を応援する姿勢。これこそが、世代の壁を越え、不可能に思えたアイデアが走り出す瞬間につながるのです。

たとえば、乳幼児向け託児所の開設を夢見た二人の女性。経験も人脈もほぼゼロ。それでも、経験を積みながら、シニアボランティアからの知恵を共に、資金調達を進め。同時に、認可を取得。さらにマーケティングを整える――。

小さな一歩を『一緒に』積み重ね、夢は少しずつ形になっていきました。

そして2021年、ついに開業を実現。現在は15人のスタッフを抱え、地域に欠かせない存在へと成長しています。

ここにあるのは、夢を共に育てる場所としてのコミュニティの姿です。

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Photo | Yayoi Yamamoto, PDX Coordinator & Planner, LLC

人生100年時代 ― 定年後を『生きがい』に変える日本へのヒント

日本では「定年=引退」という考え方は、すでに現実に合わなくなっています。

多くの人が、生活のために働き続けているのが実情です。

けれども、その働きが同時に『生きがい』へと結びついたなら。社会の景色は、もっと変わって見えるのではないでしょうか。

SCOREのボランティアの姿は、日本の年配世代にも大きなヒントを与えてくれます。

長いキャリアで培った経験や知識は、社会にとって大きな財産です。

とくに人材不足が深刻化する日本。

シニア世代の参加は、労働力の補いにとどまらず、新しい発想や価値を生み出すきっかけにもなり得ます。

人生100年時代に求められるのは、単なる労働ではありません。

自らの経験を誰かのために役立て、その喜びを力に変えていくこと。その積み重ねが、社会全体を前へ押し進める力となっていくはずです。

――日本で「第二幕の舞台」を思い描いてみたとき。どんな未来が浮かんでくるでしょうか。

そして、その未来で、『あなたは』どんな姿で関わっていると想像できますか。

【次号予告】

不法移民問題で揺れるアメリカ。

幼い頃、メキシコから国境を越えた少女。 学もなく、掃除夫として働き出すしかなかった――。

差別、蔑視の中でもがきながら、やがてシングルマザーとなり、掃除会社を立ち上げる。 20人の従業員を抱えるまでに成長した彼女が、最後に挑んだものとは。

尚、来月は東京出張のため休載。次回の寄稿は10月末です。

記:各回にご登場いただいた方や記載団体に関するお問い合わせは、直接山本迄ご連絡頂ければ幸いです。
本記事掲載にあたってのゲストとの合意上、直接のご連絡はお控えください。

 

Profile

著者プロフィール
山本彌生

企画プロジェクト&視察コーディネーション会社PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社等を経てNYと東京にNPOを設立。2002年に当社起業。メディア・ビジネス・行政・学術・通訳の5分野を循環させる「独自のビジネスモデル」を構築。ビジネスを超えた "持続可能な" 関係作りに重きを置いている。日系メディア上のポートランド撮影は当社制作が多く、また業務提携先は多岐にわたる。

Facebook:Yayoi O. Yamamoto

Instagram:PDX_Coordinator

協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)

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