
ポートランドが映す「これからのアメリカ」──ローカルが示す新しい生き方のヒント
シニア×Z世代、共に築いた6万件の起業――ポートランド発『第二幕の知恵』とは?!
Photo |Courtesy SCORE
シニアとZ世代が出会う――未来をつなぐ学びのかたち
SCOREの魅力は、一方向の指導にとどまりません。そこにあるのは、Mutual Learning――相互に学び合う文化です。
シニア世代は、経営や組織づくりの知恵を伝え、若い起業家を後押し。その一方で、自らもSNSやAIといった新しい知識を学ぶ機会を得ています。
若い世代を支えながら、自分も新しい刺激を受けて成長していく。
その有機的な関係こそが、三世代が共に未来を築いていく基なのです。
そして、この活動を支えているのが「S・L・A・T・E」と呼ばれる独自の指導法。
S =判断を保留する(Stop)
L =耳を傾け、学ぶ(Listen)
A =状況を整理し、分析する(Assess)
T =試してみて、道具とともに伝える(Test)
E =夢を励ます(Encourage)
つまり、相手を尊重しながら共に考え、学び、そして夢を応援する姿勢。これこそが、世代の壁を越え、不可能に思えたアイデアが走り出す瞬間につながるのです。
たとえば、乳幼児向け託児所の開設を夢見た二人の女性。経験も人脈もほぼゼロ。それでも、経験を積みながら、シニアボランティアからの知恵を共に、資金調達を進め。同時に、認可を取得。さらにマーケティングを整える――。
小さな一歩を『一緒に』積み重ね、夢は少しずつ形になっていきました。
そして2021年、ついに開業を実現。現在は15人のスタッフを抱え、地域に欠かせない存在へと成長しています。
ここにあるのは、夢を共に育てる場所としてのコミュニティの姿です。

人生100年時代 ― 定年後を『生きがい』に変える日本へのヒント
日本では「定年=引退」という考え方は、すでに現実に合わなくなっています。
多くの人が、生活のために働き続けているのが実情です。
けれども、その働きが同時に『生きがい』へと結びついたなら。社会の景色は、もっと変わって見えるのではないでしょうか。
SCOREのボランティアの姿は、日本の年配世代にも大きなヒントを与えてくれます。
長いキャリアで培った経験や知識は、社会にとって大きな財産です。
とくに人材不足が深刻化する日本。
シニア世代の参加は、労働力の補いにとどまらず、新しい発想や価値を生み出すきっかけにもなり得ます。
人生100年時代に求められるのは、単なる労働ではありません。
自らの経験を誰かのために役立て、その喜びを力に変えていくこと。その積み重ねが、社会全体を前へ押し進める力となっていくはずです。
――日本で「第二幕の舞台」を思い描いてみたとき。どんな未来が浮かんでくるでしょうか。
そして、その未来で、『あなたは』どんな姿で関わっていると想像できますか。
【次号予告】
不法移民問題で揺れるアメリカ。幼い頃、メキシコから国境を越えた少女。 学もなく、掃除夫として働き出すしかなかった――。
差別、蔑視の中でもがきながら、やがてシングルマザーとなり、掃除会社を立ち上げる。 20人の従業員を抱えるまでに成長した彼女が、最後に挑んだものとは。
尚、来月は東京出張のため休載。次回の寄稿は10月末です。
本記事掲載にあたってのゲストとの合意上、直接のご連絡はお控えください。

- 山本彌生
ポートランド在住。グローバル・プランニング会社 PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社とコンサルティング会社を経てNYと東京でNPOを設立。2002年に現社を起業し、オレゴン州より優秀起業社として認定される。日米の ビジネス・行政・学術・メディア・通訳 の『5分野を循環させる独自モデル』を構築。目的に応じたスタディ視察、カスタマイズ・プログラム、レクチャー等を多様な方々に向けて提供している。神戸学院大学客員教授。オレゴン州行政機関において、複数の役職を務めている。
Facebook:Yayoi O. YamamotoInstagram:PDX_Coordinator
協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)




















































