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魅惑の摩天楼、香港フォト通信

マリエ|香港

あれから36年、今年もこの日がやって来た

<筆者撮影>

あの時、あの場所で事件が起きてから36年、今年もこの日がやって来た。私はこの日コーズウエイベイのSOGO百貨店に「銀だこ」を買いに行った。地下鉄構内SOGO方面D出口には、かなりの人数の警官が立っていた。

香港は2019年まで、事件を追悼する行事が毎年コーズウエイベイのビクトリアパークで大々的に行われていた。しかし2020年に施行された国安法による禁止されて以降、ご法度となった。この日に禁止されているのは、蝋燭を持って歩くこと、携帯の懐中電灯をオンにして上に掲げること、そして禁止されているスローガンが書かれたTシャツを着たり、スローガンが書かれたボードを掲げたりすることである。

デパ地下で買い物を済ませてから地上に出てみた。警察車両の数が多い。冒頭写真の赤いトラムの前後に警察車両がいるのが見えると思う。赤いトラムの先、ビルとビルの間にストリートがある。Great George Streetと言う通りで、IKEA、H&M、無印良品、ドンキホーテなど若者に人気のお店がある。そしてその突き当りの奥にはあのビクトリア公園がある。

ビクトリアパークへと続くストリートというだけあって、道路左右脇に警察車両ががびっしり停まっている。警察官もずらーっと並んで立っている。その間を若者たちが普通にふらり、ふらりと練り歩いていたけれど、ちょっとこの通りはやばいなと思い、ビクトリアパークから離れるように逆方向に歩いてみた。

途中一人の男性が携帯でニタニタ笑いながら堂々と警官を動画で撮影しているのを目にした。「バカだねえ、何も、香港が1年に1度、敏感になるこの日に、よりによって警官の顔めがけて動画を回すなんて」と思ってたら案の定、7~8人の警官に囲まれていた。そのうち3人は私服警官だった。私服警官も相当動員されているようだ。口頭で注意を受けたようで連行はされていなかった。

newsweekjp_20250610052125.jpg<筆者撮影>

ビクトリアパークからどんどん離れて歩いても、どの脇道にも警察車両は配置されていた。

ふらっと脇道に入って目に飛び込んでくる、ねっとりとした香港のエキゾチックさは相変わらず美しいと思った。

newsweekjp_20250610052417.jpg

<筆者撮影>

ちょっとさびれた一角で、香港オヤジ達がキャーキャー言いながらご飯を食べている微笑ましい姿を見て帰路についた。

ワンちゃんも警察に連行

あれから数日して、あの日あの厳戒態勢の中、ビクトリアパークに敢えて入っていった人はいたのだろうかと報道を追ってみたら、やっぱり違反行為で連行された人はいたようだ。

香港フリープレスの7日のアップデート記事によると、

ビクトリアパーク内で禁止されている電子蝋燭を灯したり、花を供えようとしたり、黙とうをしたりして連れていかれたようだ。

中でもぎゃ~!と思ったのは、禁句が書いてある首輪をしたワンちゃんが飼い主と一緒に連行されたとの事。ここで言う禁句というのはスポーツ競技などの際、私たちは「ニッポン、ガンバ」と言って応援するでしょう? そのニッポンをホンコンに置き換えたもの。香港情勢に興味のある人を除いて、香港にそれほど興味を持っていない日本人がワンちゃんの首輪の件を聞いても全く意味不明だろうなあとは思う。まあ、ということで今年のこの月のこの日、過ぎていきました。

 

Profile

著者プロフィール
マリエ

香港在住の雑貨が大好きなフォトグラファー。大学卒業後、自動車会社、政府機関、外資企業にて広報担当。夫の転勤で香港に移住後、カメラに興味を持ち、日本人、外国人フォトグラファーに師事。現在、雑貨を可愛く撮るカメラ教室「Zakka Styling」を主宰。同時に家族写真、ロケーションフォトの依頼もこなす日々。インスタグラムはこちら

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