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イスラム国ホラサン州、バルチスタンへ拠点移転──パキスタン南西部に広がる新たなテロの温床

パキスタン・バロチスタン州の港湾都市グワダル Nadeem A. Khan -shutterstock-
<イスラム国ホラサン州(ISKP)がアフガニスタンからパキスタン南西部バルチスタン州へ拠点を移した。同州ではすでにバルチスタン解放軍(BLA)が反政府活動を展開している>
ISKPがバルチスタン州を新たに拠点とすることは、国際社会にとって新たなテロリスクとなる恐れがある。国際社会はこの動向を注視しなければならない。
中央アジアと南アジアの交差点で、複雑な地政学的緊張が新たな局面を迎えている。イスラム国ホラサン州(ISKP)がアフガニスタンからパキスタン南西部バルチスタン州へ拠点を移した動きは、単なる避難ではなく、戦略的な再配置を示唆している。
この移転は、タリバン政権の強力な掃討作戦による圧力から逃れるためである一方、ISKPのグローバルな野心を考慮すれば、意図的な戦略的撤退の可能性も考えられる。
バルチスタン州では、長年パキスタンからの独立を求めるバルチ民族主義武装組織、バルチスタン解放軍(BLA)が活発にテロ活動を展開しており、近年は中国の一帯一路(BRI)構想に関連するインフラプロジェクトを標的に攻撃を繰り返している。
よって、パキスタン政府がBLAを長年の敵対勢力として敵視している点を活用し、同州を新たな拠点にしてもパキスタン政府から強い圧力を受けにくいとISKPが考えることは十分に想像が付く。
実際、ISKPのサラフィ・ジハード主義とBLAの分離独立主義・民族主義は根本的に対立し、両者の間で激しい衝突が発生している。
これは、パキスタン政府にとってBLAの弱体化という利益をもたらすが、グローバルテロの観点からは深刻な懸念を生んでいる。ここでは、この複雑な力学を分析し、パキスタンの曖昧な政策がもたらすリスクを考察する。
ISKPの台頭とアフガニスタンからの移転
ISKPは2015年にアフガニスタンで台頭した過激派組織で、イスラム国(IS)の地域支部として知られる。そのイデオロギーはサラフィージハード主義に基づき、グローバルなカリフ制国家樹立を目指し、シーア派や他の宗派に対する無差別テロを繰り返してきた。
2021年の米軍撤退後、タリバン政権がアフガニスタンで権力を固めると、ISKPに対する掃討作戦が強化された。タリバンはISKPを最大の脅威と位置づけ、効果的な対テロ作戦を展開。これにより、ISKPはアフガニスタン東部や北部から追われ、パキスタン南西部バルチスタン州へ移動を余儀なくされた。
しかし、この移動を単なる「避難、逃亡」として片づけるのは早計であり、戦略的撤退の可能性を考える必要がある。ISKPはグローバル志向が強く、アフガニスタン国内での存続より、国際的なテロネットワークの構築を優先する傾向がある。
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