コラム

黒川さん、賭け「麻将」はよくないよ! 中国人の私が麻雀よりもおすすめするのは......

2020年06月18日(木)18時00分
周 来友(しゅう・らいゆう)

中国人には麻雀好きが多く、やるのは大抵(違法な)掛け麻雀だ BEE32/ISTOCK

<麻雀は中国語で「麻将」、中国人は麻雀好きでお金を賭けないなんて考えられない。ギャンブル依存症の人も多く「麻将亡国論」という言葉まである>

新型コロナウイルス対策で政府が国民に外出自粛を呼び掛けている最中に、黒川弘務・東京高検検事長(後に辞任)の賭け麻雀(マージャン)が明らかになった。しかも自身の定年延長が「違法」とも指摘されるなか、それを後付けで正当化するような検察庁法改正案が論議を巻き起こしたタイミングに重なった。「週刊文春」がスクープしたこのスキャンダルでは、賭け麻雀の相手が新聞記者らだったこともあり、報道の公正性も問題視された。

このニュースは私も大いに気になった。何といっても私は中国人。そして麻雀と言えば、中国だからね。

中国語では「麻将」と書く麻雀。ただ、実を言うと私自身はほとんどやったことがない。嫌いなわけでも苦い思い出があるわけでもなく、単に覚える機会がなくて、興味もないまま今に至っている。

とはいえ私はむしろ少数派で、中国人には麻雀好きが多い。そして大抵は賭け麻雀だ。日本と同じく違法だが、お金を賭けない麻雀なんて中国人には考えられない。中国では、黒川さんのように誰かの家に集まるか、違法のため看板こそ出ていないが雀荘的な店があちこちにあるので、そこで卓を囲む(来日当初、雀荘の看板を見て「スズメの......店?」と首をひねったっけ)。

とにかく言いたいのは、ギャンブルはよくないということ。趣味でやる程度の賭け麻雀にあまり文句をつけたくないが、人間を駄目にする一種の麻薬と言ってもいいだろう。実際、中国には「麻将亡国論」なる言葉もあり、ギャンブル依存症になる人は多い。浙江省に住む私の親戚もその1人で、すぐ賭け事にお金を使ってしまうため、年がら年中、奥さんとけんかをしている。

もちろんギャンブル依存症は麻雀に限ったものではない。日本で特に深刻なのはパチンコのほうだろう。自粛期間中には、営業を続けるパチンコ店と行政側の間で攻防が繰り広げられ、ニュースでも大きく取り上げられた。パチンコ店に並ぶ人たちを見て、「単に暇つぶしに来ているのではなく、パチンコなしには生きられないのかもしれない」と気の毒に思ったものだ。

私は昔、司法通訳をやっていた。その時いわゆる「裏ロム」、つまりパチンコ台基板の違法改造を行う中国人の事件を担当したことがあり、パチンコ業界の裏側も少々かじることになった。そのせいもあって、普通の人はそもそも勝てないようになっていると思っている。勝てないギャンブルで身を亡ぼすなんて、あまりにも悲しい。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story