外国人には分かりにくい、日本の「平和主義」ってなに?
昨年11月に開催された日本初の防衛装備展示会も他国とは違う雰囲気 COURTESY NAOHL LEE
<日本の防衛政策が何を抑制しているのか、それが世界平和にどのように役立つのか、もっと分かりやすく示してほしい>
20年ほど前、韓国陸軍士官学校の学生たちに交じり、ソウルで日本の駐在武官による講義を聴いたときのことだ。
自衛隊と国連平和維持活動(PKO)についての話で、「武器使用は隊員の生命・身体の防護のための必要最小限に限る」といったPKO5原則の説明を受けると、学生の1人が「本格的な攻撃を受けたらどうするのか」と質問した。すると日本の武官は「まずは逃げる、ということになるだろう」と答えた。学生たちは「冗談だろう」と受け止めつつ、「たとえ冗談にしても、軍人が『逃げる』と言うなんて」と当惑していたのを覚えている。
こんなことを思い出したのは、今年は東京五輪の年(編注:五輪開催は21年7月に延期)でもあり、また日米安保条約60年の節目であることもあって、時折「平和国家としての日本」や「日本の平和主義」に関する記事や社説が日本の新聞に載るからだ。
この比較的よく使われる「平和国家」が何を意味するのか、正直に言って外国人には分かりにくいと思う。そもそも日本は実際、防衛費支出額では世界トップ10に入る軍事大国であり、所有する先端兵器も多いためだ。
時に不合理なほどの自縛
私は日本に留学し、日本の外交政策の勉強を本格的に始めてから、PKOへの対応のほか代表的な平和主義的政策に武器輸出三原則があることを知った。
これも十数年前になるが、日本に詳しい元米国防総省幹部にインタビューしたことがある。この幹部は日本の武器輸出三原則について「潜水艦で使うコップも軍隊用だと武器に分類され、輸出できない。不合理だ」と批判的だった。そのときの話では、そのコップというのは底にゴムが付いていて、テーブルが傾いても倒れにくいということだった。それを聞いて、私もそれは確かに不合理だと思ったものだ。
このように日本の平和主義が外国人にとって理解が難しいのは、その焦点が時に不合理なほどに自らを縛ることにあり、それによって国際社会をどう平和にするか、という部分は見えにくいという理由があると思う。
もちろん、ここで挙げた事例は、いずれもやや極端なものだろうし、PKOの在り方も武器輸出三原則もその後、大きく変わっている。武器輸出三原則は2014年に防衛装備移転三原則となり、15年の安全保障関連法の成立で自衛隊の海外での活動の範囲は広がった。
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