「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った香港政府、大埔の惨事が暴いた「愛国者統治」の機能不全
HK Blaze Bares Decay
火災現場から遺体を運び出す消防隊。安全基準を満たさない資材が延焼を招いたとされる VERNON YUENーNEXPHER IMAGESーSIPA USAーREUTERS
<異論を徹底的に封じ「愛国者」で固めた政府は、警鐘を鳴らすはずの見張り役を失い機能不全>
▼目次
形だけの「調査委員会」
11月26日、香港・大埔(タイポ)区の高層住宅群で大規模な火災が起き、159人の命を奪った(12月5日現在)。
火災発生から数時間後には炎に包まれた現場のすぐそばで市民主導の救援活動が始まり、被災者に物資を配布し、医療や心のケアを行った。消防隊も市民が提供する食料や防寒具を頼りにした。
一方、政府系NGOが警察の支援を受け現場に到着したのは翌日になってから。台風などの災害時と違い、行政機関の垣根を越えた連携も、すぐには見られなかった。
市民の迅速な動きと当局の鈍い反応はまさに対照的で、李家超(ジョン・リー)行政長官の下、香港の行政が深刻な機能不全に陥っていることを如実に示す。香港政府は体面を保とうとして、かえって恥をさらした。
当初当局は修繕工事に使われた竹製の足場が急激な延焼につながったと発表したが、後に足場を覆う可燃性の防護ネットと各戸の窓に張られた発泡スチロール板が原因と判明した。二転三転する説明は、建設業者からも元政府関係者からも一般市民からも非難された。
政府がどんなに取り繕おうと、行政の監督体制が完全に崩壊しているのは明らかだ。
2010年代に建物の点検保守が義務化されて以来、修繕工事をめぐる談合などの不正行為はむしろ増加し、請負業者やコンサルタントの摘発が相次いだ。
今回の火災の2カ月前には7710万米ドル規模の修繕工事をめぐり、競争事務委員会(日本の公正取引委員会に相当)が業者とコンサルタントを逮捕した。建築物を管轄する建築局は修繕工事を検査する権限を持つが、積極的な介入は行わない。
20年に国家安全維持法が施行され、24年に国家安全条例が成立する以前の香港では、市民社会が不完全ながら、こうした不正行為を監視し歯止めをかけていた。
民主派政党は市民による請負業者の精査を支援し、民主派の区議会議員は市民の懸念を当局に伝えていた。蘋果日報(アップル・デイリー)や壹週刊(ネクスト)などの独立系メディアは、ずさんな工事や汚職を暴いた。
こうした安全装置が機能していれば、大規模火災は防げた可能性がある。だが現体制の下で、その安全装置は全て破壊されていたのだ。
民主化運動家は投獄され、沈黙を強いられ、亡命した。民主派の政党や団体は解体された。蘋果日報も壹週刊も廃刊に追い込まれ、発行人の黎智英(ジミー・ライ)は国家安全維持法違反に問われて5年近く前から収監され、今なお裁判が続く。活動を続けるメディアも、言論の自主規制を強めている。
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