トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
Thai Airstrikes Hit Cambodia as Border Conflict Reignites
タイのブリーラム県で、シェルターに非難した人々 Prajoub Sukprom-shutterstock
<双方が戦闘開始の責任をなすりつけ合っており、事態収拾の見通しは立っていない>
タイとカンボジアが係争中の国境地帯付近での戦線を拡大させ、双方に死者が出ている。ドナルド・トランプ米大統領が仲介した停戦合意は事実上崩壊したという見方がある。
タイのアヌティン・チャーンウィラクル首相は自国が戦端を開いたことを否定しつつ、カンボジアとの交渉の余地を否定。トランプや他の仲介者が停戦合意を復活させる可能性もないとして、主権を守るための必要なあらゆる軍事的措置を取ると明言している。
戦闘は12月7日に国境沿いの銃撃戦から始まり、8日にタイ軍は空爆で応戦。タイとカンボジアは今回の戦闘の発端について、互いを非難している。
トランプは、両国間で死傷者を出した数日間の衝突を終わらせたとして、7月28日の停戦合意の仲介に功績があると主張し、カンボジア側はトランプをノーベル平和賞に推薦していた。今回の衝突は、それ以来最も深刻な停戦違反だ。
7月の合意でも歴史的な国境をめぐる対立は依然として未解決だった。紛争が再び激化するリスクは常にあったといえ、トランプ流の「ディール」の実効力を疑問視する声も上がっていた。
タイとカンボジアの両国はアメリカと中国との関係を良好に保っている。しかし、タイはNATO非加盟国のなかでの、アメリカの主要な同盟国である一方、カンボジアは中国と親密な関係にあり、中国に海軍基地の使用を認めている。
タイ陸軍の報道官によると、カンボジア軍は12月7日にタイのシーサケート県にある国境地帯で攻撃を開始し、翌日には全長800キロメートルに及ぶ国境地帯の複数の場所で戦闘が発生したという。タイ兵1名が死亡、8名が負傷した。
タイ陸軍は、「カンボジア軍の火力支援兵器による攻撃を抑止するため、タイは複数の地域における軍事目標に対して航空機による攻撃を開始した」と発表。カンボジア軍が多連装ロケットランチャーBM-21を使ってタイのブリーラム県の民間地域を攻撃したと非難した。






