「米イラン危機」にイラン出身の私がコメントする難しさ
2020年の正月という、日本にとって大きな平和の祭典であるオリンピックを控えたタイミングで発生したイランとアメリカの衝突は、私に多くの取材協力の機会をもたらした。そして応えることができなかった自分自身がいた。私はとても深く悩んだ。自問自答と内省で今も頭がいっぱいだ。リスクを承知で思っていることを発言するべきだったろうか。
世界は平和であってほしい、日本は平和で素晴らしい、故郷の家族が心配です、などと無難な発言をして、名前と顔を売るべきだったろうか。正直いまだに悩んでいる自分がいる。
今回の対応は正しかったのか......。その答えは出てない。だが、今回の悩み抜いた結果の教訓は、国同士の理解や交流は、互いへの配慮と気遣いをベースとして、平和な日常の中でこそ全力で取り組まなくてはならないということだ。有事には、日常の努力の結果が表れる。逆に、有事にバタバタと慌てたり、普段やらないような動きをするべきではない。
これは決して今回発言をした方を非難しているのではない。普段の努力が足らず、発言できなかった私の反省である。
<本誌2020年2月4日号掲載>
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