【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラーベ)のルールから2つの派閥、「ダークホース」まで

Who Will Be the New Pope?

2025年4月30日(水)17時50分
テオ・ゼノウ(ジャーナリスト、歴史家)

サラの見立てでは、今のヨーロッパはイスラムとの存亡を懸けた戦いの真っ最中で、「もしもヨーロッパが消滅し、旧大陸の貴重な価値が消滅すれば、イスラムは世界を制し、文化も人類も道徳観も完全に変わってしまう」。

当然ながら、サラは同性愛を否定しており、同性カップルに対する祝福を認めたフランシスコの決定を非難している。「同性愛と人工妊娠中絶のイデオロギー」は「ナチス・ファシズムや共産主義」に等しいと言ったこともある。


パーマーによれば、もう1人の保守派の重鎮はアメリカ人の枢機卿レイモンド・バーク(76)だ。率直な発言で知られるバークは、執拗にフランシスコ批判を繰り返したため、教皇庁が賃料を助成するバチカンのアパートから追い出された過去もある。

レイモンド・バーク枢機卿

次期教皇候補として名前が挙げられているレイモンド・バーク枢機卿 FRANCO ORIGLIA/GETTY IMAGES

トランプの存在が逆風に

バークはドナルド・トランプ米大統領の「MAGA(アメリカを再び偉大に)」運動とも密接なつながりがある。しかし、現時点ではそれがあだとなるかもしれない。「世界にネガティブな影響を与えているトランプとのつながりはバークに、そしてサラにも不利だ」とパーマーは言う。

そうであれば、サラやバークのような保守派が勝利に必要な支持を得られる可能性は低い。社会学者のマルテルも「サラやバークが教皇になる可能性はまずない」とみる。

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