最新記事
映画

20分ごとの急展開に「爆笑」する人も?...映画『教皇選挙』は「B級サスペンス」で「娯楽ミステリー」

A Surprising Papal Thriller

2025年3月14日(金)18時18分
デーナ・スティーブンズ(映画評論家)
映画『教皇選挙』でローレンス枢機卿を演じるレイフ・ファインズ

選挙を取り仕切るローレンス役のレイフ・ファインズほか実力派が集結 ©2024 CONCLAVE DISTRIBUTION, LLC.

<ベストセラー小説の映画化でアカデミー賞では脚色賞を受賞。野望と陰謀が渦巻くバチカンを描く『教皇選挙』は結末で賛否両論?──(3ページ以降ネタバレ解説ありレビュー)>

映画『教皇選挙(Conclave)』が描く世界をじかに体験する機会のある観客は、まずいないだろう。カトリック教会の総本山バチカンの礼拝堂に100人を超える枢機卿が閉じ籠もり、新しい教皇を投票で選ぶのだ。

ロバート・ハリス(Robert Harris)のベストセラー小説をエドワード・ベルガー(Edward Berger)監督が映画化。今年のアカデミー賞で8部門にノミネートされ脚色賞を受賞した。

映画『教皇選挙』予告編



教皇の急逝を受け、イギリス人のローレンス枢機卿(レイフ・ファインズ、Ralph Fiennes)はコンクラーベ(教皇選挙)を取り仕切ることになる。

選挙は儀式化され、厳格なルールにのっとって進められる。深紅の法衣をまとった枢機卿たちが世界中から集結し、選挙の重要な部分はラテン語で執り行われる。

ローレンス自身は次期教皇にアメリカ人のベリーニ枢機卿(スタンリー・トゥッチ、Stanley Tucci)を推す。ベリーニは同性婚や女性の聖職者叙任を認めることに前向きな進歩派だ。

だが本命はイタリア出身で、人種差別的な発言をまき散らす時代錯誤なテデスコ枢機卿(セルジオ・カステリット、Sergio Castellitto)。カナダ人のトランブレ(ジョン・リスゴー、John Lithgow)とナイジェリア人のアデイエミ(ルシアン・ムサマティ、Lucian Msamati)も参戦する。

さらに土壇場で、詳しい素性を誰も知らないメキシコ人のベニテス枢機卿(カルロス・ディエス、Carlos Diehz)がやって来る。

選挙では教会のトップエリートたちが火花を散らし、バチカンの壁のすぐ外でもきなくさい事件が発生する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米ミネソタ州議員銃撃、容疑者逮捕 標的リストに知事

ビジネス

米FRB、金利は据え置きか 関税問題や中東情勢不透

ワールド

豪中銀、金融政策委の投票内訳開示の方針

ワールド

イランの報復攻撃にさらされるイスラエル、観光客4万
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中