【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラーベ)のルールから2つの派閥、「ダークホース」まで

Who Will Be the New Pope?

2025年4月30日(水)17時50分
テオ・ゼノウ(ジャーナリスト、歴史家)

なぜか。まず、フランシスコは在任中に枢機卿の顔触れを大幅に刷新している。コンクラーベで投票できる枢機卿135人のうち8割の108人は彼が任命した。ただし、そこに問題がある。そうした枢機卿の多くは世界各地に散らばっており、互いに面識はなく、一緒に過ごした時間はほとんどない。

「多くの枢機卿は地球の反対側からやって来る。すごくエキゾチックな人が選ばれるかもしれない」と言うのは、『バチカンのクローゼットで(In the Closet of the Vatican)』の著者で教会内の同性愛の実態を調査した社会学者のフレデリック・マルテル(Frédéric Martel)だ。


「実際、驚くべき結果になるかもしれない。今度のコンクラーベで働くであろう社会的力学については誰も知らない」

対立する2つの派閥

それでも今は、ローマ中が次の教皇候補の話題で持ちきりだ。カトリック教会と密接な関係にあるNGO「フェイスインベスト」の創設者であるマーティン・パーマーによれば、次の教皇は教会内の2つの派閥のどちらかから生まれる可能性が高い。

【関連記事】LGBTQは受け入れても保守派は排除...「リベラル教皇」で割れるカトリック教会 「文化戦争」の最前線でいま何が?

アメリカやアフリカの一部にいる反フランシスコの「右派」か、アジアやアフリカ出身でリベラルなフランシスコ派だ。

右派が推すのは、まずギニア出身で79歳の枢機卿ロベール・サラだろうとパーマーは言う。世界中のカトリック教会の典礼をつかさどる典礼秘跡省の長官だったサラは強硬な伝統主義者の大物で、いわゆる白人至上主義の陰謀論にくみしている。

19年には「かつてローマが野蛮人に侵略されたように、今のヨーロッパは外国人に侵略される」瀬戸際にあるとも述べている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

TDK、米スマートグラスのソフトアイ社を買収=関係

ビジネス

経済・金融見通し、極めて不確実 スイス中銀が警告

ビジネス

中国の年央最大商戦「618」、盛り上がりを欠いたま

ワールド

財政危機のバチカン、新教皇レオ14世の動画で献金呼
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 2
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 3
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火...世界遺産の火山がもたらした被害は?
  • 4
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 5
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 6
    下品すぎる...法廷に現れた「胸元に視線集中」の過激…
  • 7
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 8
    マスクが「時代遅れ」と呼んだ有人戦闘機F-35は、イ…
  • 9
    【クイズ】「熱中症」は英語で何という?
  • 10
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未…
  • 6
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 7
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 8
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 6
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 7
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中