最新記事
兵器

ウクライナ「戦況」が変わる? ゼレンスキーが欲しがる米クラスター弾の「壊滅的」攻撃力を示した映像

Video shows ATACMS cluster bomb devastation as Ukraine awaits missiles

2023年9月29日(金)17時43分
エリー・クック
米国製ATACMS

韓国での演習で発射されたATACMS(2017年7月) United States Army/Handout via REUTERS

<米国製ミサイルATACMSからクラスター弾が発射される様子を捉えたとされる動画がインターネット上で注目を集めている>

ウクライナの戦場で使用され、その威力と恐ろしさを存分に発揮しているクラスター弾。ウクライナ政府はさらにアメリカからの長距離ミサイル供与を求め、正式な決定を待っている状況だが、そうした中で米国製ATACMS(陸軍戦術ミサイル)からクラスター弾が発射され、標的に「壊滅的」なダメージを与える瞬間を捉えた動画が注目を集めている。

■【動画】「まさに壊滅的!」米ミサイルATACMSから飛散したクラスター弾による爆撃の瞬間

オスロ大学(ノルウェー)博士課程研究員のファビアン・ホフマンは本誌に対して、動画に映っているのは米陸軍ATACMSのおそらくM39が、M74小型爆弾を飛散させる様子を捉えたものだろうと語った。動画の撮影場所と撮影時期について、本誌は独自に裏付けを取ることはできていない。

ロシアとの全面戦争に突入して19カ月以上になるウクライナは、以前から長距離ATACMSを欲しがっていた。だがイギリスとフランスがATACMSと射程距離が同程度である共同開発の巡航ミサイル「ストームシャドウ/SCALP」を既にウクライナに供与している一方で、アメリカはATACMSの供与をためらってきた。

ATACMSは最大射程が300キロメートル。これを入手できれば、反転攻勢を続けるウクライナは、前線のはるか後方にあるロシアの占領地域を攻撃することができるようになる。

こうしたなかで最近、アメリカがウクライナにATACMSを供与するつもりだと示唆する報道が浮上している(アメリカはこれを正式には認めていない)。米政府は9月28日にウクライナへの新たな軍事支援策を発表したが、ATACMSへの言及はなかった。

ATACMS供与ならドイツの後押しにも?

米ウォール・ストリート・ジャーナル紙やNBCニュースは先週、ジョー・バイデン米大統領がウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に、ATACMS供与の方針を伝えたと報道。米ワシントン・ポスト紙は、バイデン政権がまもなく正式発表を行う見通しで、アメリカが供与するのはクラスター爆弾を搭載するタイプのATACMSだと報じた。

本誌はこの件についてホワイトハウスと米国防総省にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。

元米陸軍将校のベン・ホッジスは本誌に対して、クラスター爆弾搭載型のATACMSは「クリミアにあるロシアの大型施設を破壊できるほどの威力はないだろう」と述べた。

ウクライナはこれまで、クリミアにあるロシアのインフラ(橋など)の攻撃に長距離ミサイル「ストームシャドウ」を何度も使用し、9月に入ってからはセバストポリでロシア軍の艦船2隻に対しても同ミサイルを使用したと報じられている。

ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナが水上ドローン攻撃、「影の船団」タンカー

ワールド

ノーベル平和賞マチャド氏、オスロに到着 授賞式に数

ワールド

プーチン氏、インドネシア大統領と会談 原子力部門で

ワールド

香港中銀が0.25%利下げ、米FRBに追随
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中