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黒人国防長官が挑む米軍のダイバーシティー

NAVY FIGHTS EXTREMISM

2021年2月26日(金)18時30分
ナビード・ジャマリ、トム・オコナー

偏狭な思想や性差別などの虐待的な言動は、アメリカにも、そして軍にも深い根がある。ナンスと同じく海軍の退役軍人で、現在はエンターテインメント関連会社ハウス・オブ・バーゴ・エンターテインメントのオーナー兼CEOであるタシャンドラ・プラードは、まずは軍内部にある構造的な問題に対処しなければ過激主義を排除することは難しいと指摘する。

「軍はまず、人種差別や性差別、白人至上主義に近い外国人嫌悪の考え方を行動で示している兵士を、男女を問わず精査することから始めるべきだ」とプラードは言う。「身元調査やソーシャルメディアの精査、そして必要なら嘘発見器を使ったテストも行うべきだ」

彼女は、例えば相手を死に至らしめるスキルを学ぶなどの隠れた目的を持って軍や警察などに入り込んでいる「隠れ白人至上主義者」についても警告した。

「軍隊の訓練には、白人至上主義団体が好きそうなものもたくさんある」とプラードは言う。「接近戦で相手を殺す方法を習得すれば、白人至上主義者で固めた軍事組織の中で特に有用な隊員になれる。人種戦争に向けた備えに役立つからだ」

不用意な発言や行動から、そのような下心を察知できる場合もあるだろう。しかしたいていの場合、そうした潜在的な危険信号は気付かれずに放置され、やがて熟成し、拡散していく。

海軍特殊部隊の隊員として20年も任務に就き、2013年にトランスジェンダーの女性としてカミングアウトしたクリスティン・ベックも、現役時代には何度も嫌がらせを経験してきた。当時を振り返って、憎悪に満ちた精神の蔓延と過激主義的な思考の醸成は海軍でも「表裏一体」となっていることに気付いたと、ベックは本誌に語った。

今回の報告は過激主義を根絶する役に立つとベックはみている。上官が部下の過激主義を識別する方法を知ることができるからだ。

多様性は安全保障の問題

ベックは特殊部隊時代の訓練を例に挙げた。ベックの部隊は夜中、味方の船の乗組員を試すために、泳いで船に乗り込む訓練を行った。「私たちは泳いで船に近づき、ひそかに乗船した。見張りの乗組員たちが私たちに気付くことはなかった」とベックは言う。「彼らは夜明け前の海に浮かぶ人間の頭がどう見えるかを教わっていなかったし、水中から船に乗り込んでくる者がいるとは夢にも思っていなかったからだ」

軍隊の中で有害な文化が育ちやすいのは、この例と同じように人間心理の盲点を突けるからだとベックは考える。「人種や性の差別、偏見を示すサインを事前に見たことがなければ、それと認識することはできず、問題に気付かず、改善しようという意識も生まれない」

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