最新記事

陰謀論

侮れないQアノンとオウム真理教の不気味な類似性

QAnon’s Attraction in Japan

2021年2月5日(金)17時00分
アレックス・シルバーマン(日本在住ライター)

議事堂襲撃の際には「Qアノン・シャーマン」も出現 BRENT STIRTON/GETTY IMAGES

<世界70カ国以上に信奉者がいるとされる陰謀論信者グループ「Qアノン」だが、日本は米国外の最も活発なネットワークの1つ。その危険なカルト性とは>

悪魔崇拝の小児性愛者組織が、ドナルド・トランプ前米大統領に対する陰謀を企てている──そんな事実無根の主張を展開する集団、QAnon(Qアノン)はアメリカならではの事象ではないようだ。

1月6日に起きた米連邦議会議事堂襲撃事件の後、ツイッターはQアノン関連アカウント7万件超を停止した。最大のインフルエンサーだった1人が、日本人の岡林英里だ。

アメリカのテレビ番組を見て英語を独学したという岡林は、既に削除されたツイッタープロフィールによれば、Qアノンの情報収集サイト「Qマップ」の日本語翻訳を担当。Qアノン日本支部「Qアーミージャパンフリン(QAJF)」の創設者でもある。フォロワー数は(偽アカウントによって水増しされていたのはほぼ確実だが)8万人を超えたこともあり、影響力の大きさは疑いようがない。

Qアノンは世界70カ国以上に信奉者がいるとされる。ブルームバーグの記事によると、日本は「米国外で最も活発なネットワークの1つ」だ。

人気の高さは岡林の活動に負うところが大きい。トランプを中心に据える陰謀論に日本ならではの要素が盛り込まれ、より幅広い層にアピールするものになっている。

QAJFを構成する要素は数多い。特徴の1つが、トランプ政権発足当初に安全保障担当大統領補佐官を務めたマイケル・フリンへの崇拝だ。アメリカ本部と同じく、人種・ジェンダー問題も取り込んでいる。岡林は外国人嫌悪を表明し、トランプの反中発言を支持しているようだ。

同時に、岡林は今という時代の産物でもある。

トランプの野卑なカリスマと嘘を恥じない性向は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による前代未聞の不安と融合し、「パーフェクトストーム」を生み出した。皆が家に籠もることを迫られ、お供はインターネットだけ。簡単にアクセスできる過激なウェブサイトが急進化の格好の入り口になった。

Qアノンは「オウム真理教とよく似ている」と、独メディア、ドイチュ・ウェレで明治大学国際総合研究所の奥村準客員研究員は指摘する。「目の前の証拠や知識にもかかわらず、奇妙な説を受け入れる精神構造の人々がごく少数いるようだ」

麻原も選挙不正を主張

1995年に地下鉄サリン事件を起こしたオウムとの類似を指摘する声はほかにもある。議事堂襲撃事件後、ジャーナリストで神奈川大学特任教授(国際文化交流学科)の江川紹子は、オウムを軽視した結果を思い出してほしいと警告した。実際、両者の相似は不気味なほどだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン作戦、目標達成に時間 終わりなき戦争ではない

ワールド

イスラエル・UAE主要空港、限定的に再開へ 帰国支

ワールド

中東紛争激化で旅行関連株急落、過去3日で世界で40

ワールド

トランプ氏、イランとの戦争で「大きな波はまだ」=報
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医師が語る心優先の健康法
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    ドバイの空港・ホテルに被害 イランが湾岸諸国に報…
  • 5
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 6
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 7
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 8
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    【トランプ関税はまだ序章】新関税で得する国・損す…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 9
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 10
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中