最新記事
研究

113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎」が最新研究で明らかに

Ginger Cat Mystery Solved

2025年3月6日(木)17時29分
トム・ハワース(自然・科学担当)

茶トラ猫

PROFESSOR25/ISTOCK

「オスのサビ猫や三毛猫は時に存在するが、その原因は通常、不妊を引き起こすX染色体の過剰など、性染色体数の異常だ」。シドニー大学とミズーリ大学コロンビア校の科学者らは学術系ウェブサイト、ザ・カンバセーション(The Conversation)でそう解説している。

その肝心のオレンジ遺伝子がARHGAP36だと、ようやく判明したわけだ。


日米の研究によれば、ARHGAP36の欠失という変異が、関連タンパク質の毛包発育期の働きに作用する。

ARHGAP36はオレンジ色の部分で活発な活動を続ける一方、非オレンジ色の部分ではおおむねオフ状態になる。欠失変異は問題のタンパク質を変化させないが、活動部位に大きな影響を与え、あのオレンジ色を発現させるという。

「毛色を研究すれば、細胞間の情報伝達について学ぶことができる。色素の明るさや暗さを決める色素細胞の作用は、近接する細胞が送る信号に影響されているからだ」。

アメリカ側の研究の筆頭筆者で、スタンフォード大学の遺伝学者クリストファー・ケーリン(Christopher Kaelin)は本誌にそう語る。

共同執筆者であるスタンフォード大学の遺伝学者、ケリー・マゴーワン(Kelly McGowan)に言わせれば、猫は特殊なケースで、研究対象として価値が大きい。

「犬や羊、牛、馬、ウサギなど、多くの家畜にオレンジ系の色をした種類が存在する。これは、2つの遺伝子のうち1つの変異によるものだ」と、マゴーワンは語る。

「こうした法則の興味深い例外が茶トラ猫で、変異が性別と結び付いている。茶トラ猫は、いわば遺伝学的ユニコーンだ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国3月製造業PMIは50.4、1年ぶり高水準 持

ビジネス

ドイツ企業、米中とデカップリングなら大きな経済的コ

ワールド

韓国、173億ドル規模の補正予算案 中東紛争の影響

ビジネス

日本の投資家、韓国国債への投資開始 世界指数組み入
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 7
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 8
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中