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東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」

2025年8月28日(木)16時57分
工藤進英(昭和医科大学横浜市北部病院消化器センター長、同大医学部特任教授)*PRESIDENT Onlineからの転載

日本の内視鏡検査は世界トップレベル

読者の皆さんに私が声を大にしてお伝えしたいのは、日本の大腸内視鏡技術、診断学は世界トップレベルにあり、拡大内視鏡の精度やテクノロジーでは世界をリードしているということです。倍率520倍の超拡大内視鏡の開発といった内視鏡機器自体の改良など、大腸がんに対する内視鏡検査の大きな前進に、私もいささか寄与してきました。

米国では大腸内視鏡検査が社会に浸透していますが、陥凹型がんの認知度は低く、まだ実物を見たことがない、見つけたことがないという医師や研究者がほとんどです。大腸内の病変に青い色素を散布して凹凸を強調させ、腫瘍の性質や深達度、範囲をより正確に診断する「色素内視鏡検査」は日本では一般的ですが、米国では行われていません。


だからこそ、日本の皆さんには安心して大腸内視鏡検査をもっと受けてほしいのです。身近に最先端の機器や技術があるのですから。このままでは、まさに宝の持ち腐れになってしまいます。

秋田県女性の大腸がん死亡率が改善したワケ

私の故郷、秋田県は大腸がんの死亡率が高く、秋田県民としては不名誉な事態が続いていました。第1回で女性は大腸がんの死亡者数が増えているとお話ししましたが、秋田県の女性に焦点を当てると、2000年は死亡率全国2位でした。ところが、13年は23位、17年は35位と、顕著な改善が見られたのです。

この背景には、秋田県の医療関係者の努力が関係していると断言できます。

私は、秋田県の大腸がん死亡率低下の役に立ちたいと「大腸がん撲滅キャンペーン」を立ち上げ、県内の政財界、マスコミ、市民の協力を得て08年、秋田市内に秋田胃腸クリニック(現・工藤胃腸内科クリニック)を設立。昭和医科大学横浜市北部病院消化器センターとの連携も進め、専門医の恒常的な派遣も実現しました。

私は昼夜を問わず、県内各地で大腸内視鏡検査・治療を行いました。秋田赤十字病院時代を含めて検査・治療をした県民は、相当数になります。一人でも多くの人に内視鏡検査を受けてもらいたいと、私は100回以上の市民講座も含めた講演会の開催や新聞原稿執筆、テレビ出演などを行ってきました。

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