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豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界がうらやむ国」ノルウェーがハマった落とし穴

ノルウェーの首都オスロ Mantas Volungevicius/Shutterstock
<資源依存による産業衰退「オランダ病」回避のため石油マネーを運用し、政府年金基金の資産が280兆円を超えるほど裕福になったノルウェーが非生産的で不健康な国に>
[ロンドン発]ノルウェー南部の港町スタバンゲル沖 310キロメートルの北海で1960年代末、エコフィスク油田が発見された。原油の生産量は98年には日量37万バレルを記録したが、現在は12 万7000バレルに落ち着いている。
資源依存による産業衰退「オランダ病」を回避するため余剰の石油マネーは政府年金基金で運用され、その資産は世界の上場企業時価総額の1.5%に相当する1兆9000億ドル(280兆円)を超える。国民1人当たり34万ドル(5018万円)以上に相当する。
かつて農業・林業・漁業が主産業だったノルウェーは自他ともに認める世界で最も裕福な国の一つになった。低い失業率、国民皆保険制度、教育無償化、寛大な失業給付制度、49週間の有給育児休暇、トップランクの世界所得平等指数、山小屋でのスキー休暇を楽しむ生活文化......。
他の国からノルウェーは羨望の眼差しで見られているはずだった。
「野心がない。100%石油基金のせいだ」
コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーのオスロ事務所元所長で経済学者マーティン・ベック・ホルテ氏は著書『裕福になりすぎた国』で、石油マネーとその運用で豊かになりすぎたノルウェーは非生産的で不健康な国になっていると指摘し、衝撃を広げた。
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