コラム

トランプの脅威から祖国を守るため、「環境派」の顔を捨てたカナダ首相は「悪」なのか?

2025年11月22日(土)16時56分
COP30でカナダのカーニー首相に化石賞

カナダのカーニー首相(2025年6月) ZUMA Press Wire via Reuters

<カナダが前回「化石賞」を授与されたのは10年以上前。気候変動ネットワークは、「カーニー氏は10年分の進歩を破壊した。わずか数カ月の間に」と批判する>

[ブラジル北部パラー州ベレン発]「カナダを米国の51番目の州にする」と言い放つドナルド・トランプ米大統領と全面対決してきたカナダのマーク・カーニー首相に、世界の環境NGOが参加する「気候行動ネットワーク(CAN)」から「化石賞」が授与された。

カーニー氏は2019年、国連の気候変動に関する特使に就任し、気候変動対策に取り組む銀行や金融機関の連合体「グラスゴー・ファイナンシャル・アライアンス・フォー・ネットゼロ」を立ち上げるリーダーシップを発揮、かつては「金融界の環境派スター」ともてはやされた。

カナダが不名誉な賞を最後に授与されたのは10年以上前。カーニー氏はこれまでカナダが積み上げてきた気候政策をかなぐり捨て、多国間主義が生き残るか否かがかかった国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)で交渉の最前線から事実上姿を消していることが授賞理由だ。

カナダ 環境相は指導力が求められる場面で「沈黙」

カナダの気候変動対策が後退しただけではなく、ジュリー・ダブリューシン 環境・気候変動相は指導力が求められる場面で「不作為」「沈黙」を選択。労働者・地域社会・先住民族のため公正な移行を確保する「ベレン行動メカニズム」の議論でもカナダは沈黙を貫いている。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

チリ大統領選で右派カスト氏勝利、不法移民追放など掲

ビジネス

インタビュー:海外投資の過半を米国に、国際的なガス

ワールド

イスラエル首相、反ユダヤ主義助長と豪首相を非難 ビ

ビジネス

インタビュー:プライベートデット拡大へ運用会社買収
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story