戦争の前は家具店を営んでいた。しかし4年前の2月にロシアが攻めてきてからは、ウクライナ軍の将校として前線に赴き、今は激戦の続く同国東部ドネツク州のスラビャンスクで、大隊長として300人の兵士を率いている。
セルヒイ、46歳。戦場で2度負傷し、多くの友を失っても生き延びてきた男ゆえ、その言葉は重い。
そのセルヒイが6月末、現地を訪れた筆者に言った。「もうすぐだ、これで戦局が変わる」と。ウクライナ軍はロシアのエネルギー関連施設や重要な物流網、そしてハイテク兵器の構成部品を生産する工場に壊滅的な打撃を与えているという。
とりわけ効果的なのは、ロシアが占領するクリミア半島に弾薬や燃料、食料を供給する補給線を断つ作戦で、「この夏の終わりまで」にはクリミア半島を孤立させられると言った。そうすれば2014年のクリミア「併合」を自身の不朽の功績と自負するロシアのウラジーミル・プーチン大統領の鼻を明かせる、とも。
1年前なら、そんな見方は根拠なき希望的観測と言わざるを得なかった。当時のウクライナの戦争の進め方には一貫性がなく、焦点が定まっていなかった。だがここ数カ月で、ロシアに対するウクライナの反撃能力は劇的に向上した。
22年にロシア軍の本格的な侵攻が始まってから4年、ウクライナの軍部はようやく、勝利につながる戦略を設計できたように見える。自国の強みを生かしつつ、ロシアの弱点を突く作戦計画だ。
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