最新記事
ロシア経済

「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「ロシアの石油収入源」直撃

2025年8月27日(水)13時52分
ブリャンスク州ウネチスキーで、火災が発生した石油施設から上る煙。ソーシャルメディア上の動画から取得した静止画

8月25日、ウクライナがロシアの石油精製・輸出施設へのドローン攻撃を拡大している。写真は21日、ブリャンスク州ウネチスキーで、火災が発生した石油施設から上る煙。ソーシャルメディア上の動画から取得した静止画(2025年 ロイター/YouTube @MAGYARBIRDS via REUTERS)

ウクライナがロシアの石油精製・輸出施設へのドローン攻撃を拡大している。一連の攻撃で、ロシア国内の石油精製や輸出に支障が生じ、一部地域でガソリン不足が発生。戦争を続けるプーチン大統領にとって経済的に最も重要な分野に打撃を与えようとしている。

ウクライナの狙いは、前線におけるロシアの進撃を食い止め、ウクライナ側のエネルギー関連施設へのロシアの攻撃に対抗するとともに、今後開催される可能性がある和平協議で自らの立場を強め「ウクライナはもう戦争に負けた」という見方を否定することだ、と複数のアナリストは説明する。


 

ロシアは石油・天然ガス輸出収入が歳入の4分の1を占め、今年25%増額されて冷戦時代以来の規模になった国防関連予算の財源になっている。

今のところロシア経済は西側諸国による制裁に耐えているが、成長率は鈍化し、政府内で懸念が高まりつつある。

ガソリンスタンドに行列

ロイターの計算では、ウクライナが実施したロシアの10カ所の施設への攻撃で、ロシアの石油精製能力の少なくとも17%、日量110万バレル相当が打撃を受けたもようだ。

季節的に旅行や農業用のガソリン需要がピークを迎えるロシアは、こうした攻撃を受ける前の7月時点で、国内需要増大に対処する目的でガソリン輸出制限を強化していた。

ロシアが占領しているウクライナの国土や、ロシア南部と極東部などではガソリンが足りなくなり、極東ウラジオストクのガソリンスタンドには給油待ちの長い車列が見られた。

カーネギー・ロシア・ユーラシア・センターのセルゲイ・バクレンコ上席研究員は、製油施設が攻撃されたことで、ロシア国内の燃料供給に問題が起こりかねないとの見方を示した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2025トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 日本人と参政党
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月21日号(10月15日発売)は「日本人と参政党」特集。怒れる日本が生んだ参政党現象の源泉にルポで迫る。[PLUS]神谷宗弊インタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


キャリア
AI時代の転職こそ「人」の力を──テクノロジーと専門性を備えたLHHのコンサルティング
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

IMF、市場の「無秩序な調整」警告

ビジネス

米ゴールドマン、第3四半期利益が予想上回る 投資銀

ワールド

仏首相、年金改革を27年まで停止 左派に譲歩

ビジネス

米国株式市場・序盤=反落、米中貿易戦争巡る懸念で 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 5
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 6
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 7
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 8
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    あなたは何型に当てはまる?「5つの睡眠タイプ」で記…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中