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日本経済を中国市場から切り離すべきなのか

MARGINALLY NUCLEAR?

2026年1月29日(木)08時00分
練乙錚 (リアン・イーゼン、経済学者)
日本海北西部のピョートル大帝湾内でロシア艦が巡航ミサイル2発を試射(23年3月) RUSSIAN DEFENSE MINISTRY PRESS SERVICEーAP/AFLO

日本海北西部のピョートル大帝湾内でロシア艦が巡航ミサイル2発を試射(23年3月) RUSSIAN DEFENSE MINISTRY PRESS SERVICEーAP/AFLO

<台湾有事をめぐる率直な発言を理由に、既に高市は中国から制裁を受けている。もし同じ圧力が再びかかるなら、高市は相手の圧力を逆用する「ともえ投げ」に出て、日本経済を中国市場から切り離す決断をすべきなのかもしれない>


▼目次
北朝鮮がミサイルを撃った意味
「原子力軍艦」の抑止力を手に

昨年12月末、中国は台湾を包囲する大規模軍事演習「正義使命2025」を実施した。数百便の民間航空機や船舶の運航を妨害し、台湾の主要港湾とその接近ルートを完全に封鎖する想定で行われたこの演習は、中国が描く台湾侵攻のシナリオをはっきりと示した。

この示威行動が最も強く意識していた相手は、台湾独立派の頼清徳(ライ・チントー)総統でも、台湾への過去最大規模の武器売却を発表したばかりのドナルド・トランプ米大統領でもない。本当の矛先は、日本の高市早苗首相だ。

高市が「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」という安倍晋三元首相のドクトリンを明確に再確認したことが、中国共産党指導部を激怒させた。この演習は高市を挑発すると同時に、日本の国会の反高市勢力に「台湾有事になったら、日本はどう対応するのか」と高市を追及させる意図があった。

だが、中国の狙いはそこにとどまらない。北西太平洋に構築されつつある中ロの軍事同盟を強化する目的もある。主な仮想敵は日本だ。

中国が演習を発表する直前、ロシアも独自の軍事演習を日本に通告。期間は今年1月1日〜3月1日まで、場所は北海道から目と鼻の先の色丹島の近海だ。しかも近年、中ロは日本海で合同演習を繰り返している。

昨年、中国が台湾への威嚇を日常化させる一方で、ロシアは千島列島周辺で8回の海軍演習を行い、そのたびに本来は認められるはずの民間船舶の航行まで全て禁止した。

連動的で常態化した軍事演習によって、台湾から日本列島に連なる第一列島線での脅威の重心は台湾から北へ移動した。中国が南から迫り、ロシアが北から圧力をかける──日本は2本の鉗子(かんし)に挟み込まれた形だ。

そのため、今まで台湾有事を軸に防衛態勢を整えてきた日本は、北方にも軍事資源を振り向けざるを得なくなる。アメリカも、第一列島線で最初に危機が起こる場所を再考せざるを得ない。結果として、中国が台湾に侵攻しやすい環境が整う。

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