東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
東北3県で大腸がん患者数が多い要因
大腸がんが増えた主な要因の一つとして、私は運動不足があると考えています。北東北3県に住む人々は公共交通機関が少ないため、移動手段を主に車に頼っています。
大都市と町村部で男女の一日の歩数を調査したところ、大都市圏では男性は7494歩、女性は6767歩との報告でした。比して町村部では、それぞれ700〜800歩少ないというデータも出ています(第63巻『日本公衛誌』第9号)。
町村部は車社会のため、運動不足になることが大腸がんの罹患者を増やしているとも考えられます。特に豪雪地帯に暮らす人々は冬の間、家にこもらざるを得ません。運動不足は肥満やメタボリック症候群、糖尿病などの原因になり、大腸がんとは浅からぬ関係があるはずです。
身体活動量と大腸がん罹患との関連についての多目的コホート研究(厚生労働省)では、男性は身体活動量を増やすことにより大腸がん、特に結腸がんリスクが低下する傾向が見られました。
身体活動量を増加させることにより、高インスリン血症や肥満の予防、免疫力の増強のほか、腸管蠕動の促進による便中発がん物質の腸内曝露時間の短縮などがそのメカニズムとして推察されています。
適度の運動は大腸がんに限らず、あらゆる病気の予防に効果的なのは間違いありません。心の健康にも効果がありますから、積極的に身体を動かしましょう。
95%以上の大腸がんを発見できる検査
大腸の内視鏡検査は、大腸がんを発見できる確率が最も高い検査です。早期がんも含めると、95%以上の大腸がんを発見できるとされています。
日本では「任意型検診」である大腸内視鏡検査を、便潜血反応検査(検便)と同じ「対策型検診」(集団全体の死亡率減少を目的として実施する公共的な予防対策)にして、誰もがもっと気軽に検診を受けられるように制度を変えていくべきだと思います。
それには、知識と技術を持った内視鏡医や、設備が整った医療機関が今の10倍は必要になると思います。しかし、大腸がんで命を落とす人を減らすには、その道しかありません。