最新記事

トレーニング

ジム不要の「囚人筋トレ」なら、ケガなく身体を鍛えられる!

2018年5月10日(木)16時20分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

著者は長い刑務所生活で何度もケガを負ったらしいが、トレーニングが原因の大きな負傷は一切ないという。おそらくは彼が、体の中で最も弱い部分となりやすいグリップや関節を、意識的に鍛えていた成果だろう。


現代の身体文化の中で、関節トレーニングほど過小評価されている分野はないだろう。体が大きく強くなるにつれ、関節にかかわるトラブルは切実な問題になっていく。筋肉が強くなり、筋肉にかける負荷が大きくなると、関節や腱にかかる負荷も大きくなるからだ。痛む関節に悩むボディビルダーは多い。彼らのトレーニング法だと、硬直した不自然な動作やケガをしやすい結合組織をつくり出すものになる。キャリステニクスが優れているのは、この点だ。関節や腱にトラブルを招くのではなく、それらを強いものに変えていくトレーニングになるからだ。(25~26ページ)

「全人類の上位1%以内」に入れる握力を

そもそも、器具を使わない自重トレーニングを著者がマスターするに至ったのは、刑務所にいたからだ。同房の屈強な囚人たちから自らを守るために早急に強くなる必要があったが、当然ながら檻の中にダンベルはないし、ベンチプレスもできない。

われわれは囚人とは違う。ジム通いも自由にできるし、プロテインも飲める。器具も買ってきて使える。わざわざ原始的なやり方に戻って、首尾一貫して自分の体だけを頼みにする自重トレーニングにどれほどの意味があるのか......と、疑問に思っていた人もいるかもしれない。

だが、前作が全米ベストセラーになり、多くの「信者」を獲得しているという事実がその意味を物語っている。

この続編は著者曰く、前作の刊行後に寄せられた多くの質問に答えるものだ。テーマは大きく3つに分けられる。「特殊な部位の鍛え方」「関節トレーニング」、そして「脂肪の減らし方、疲労からの回復法など、ライフスタイル上のアドバイス」だ。

例えば、「特殊な部位」のひとつであるグリップを自重によって鍛える方法として、本書は次のトレーニングを伝授している。

●重力を使って万力のようなグリップをつくる「ハンギング」
●瞬発力を備えたチタンのような指をつくる「拷問グリップワーク」
●グリップを超人的に仕上げる「指先プッシュアップ」

kintorebook180510-2.jpg

CHAPTER 3 ザ・ハンギング・シリーズ STEP 1の「ホリゾンタル・ハング」。体をまっすぐにして床から持ち上げ、指とかかとだけで体重を支える(『プリズナートレーニング 超絶!!グリップ&関節編』49ページより)

kintorebook180510-3.jpg

CHAPTER 3 ザ・ハンギング・シリーズ STEP 5の「タオル・ハング」。タオルの一方の端を片手でつかみ、もう一方の端をもう片方の手でつかむ。ぶら下がりながら体が自由に動くようにする。手はかなり接近するが、触れないにする。肩をしっかり締める。(『プリズナートレーニング 超絶!!グリップ&関節編』53ページより)

kintorebook180510-4.jpg

CHAPTER 3 ザ・ハンギング・シリーズ STEP 8の「ワンアーム・タオル・ハング」。二つ折りになったタオルを片手でつかみ、体が自由にぶら下がれるようにする。使っている方の肩をしっかり締める。使っていない手は邪魔にならないところに位置させる。(『プリズナートレーニング 超絶!!グリップ&関節編』56ページより)

数多あるハンギングの中でも究極のトレーニングは、意外にも、水平バーに引っかけたタオルにぶら下がる「タオル・ハング」だという。言葉の響きは拍子抜けするが、片手でタオルを握って60秒間ぶらさがれれば、「全人類の上位1%以内」に入れる握力が身につくと著者は語る。

グリップを鍛えることによって、前腕や腹斜筋といった男らしさを演出する筋肉も、自重でビルドアップできる。また、首を鍛える「ブリッジ」や、ふくらはぎを鍛える「カルフレイズ」も、強度ごとに段階を追って複数のやり方を紹介している。

【参考記事】いま明かされる、ジム通い不要な「囚人トレーニング法」誕生秘話

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪首相、AUKUSの意義強調へ トランプ米大統領と

ワールド

イラン、イスラエル北部にミサイル攻撃 「新たな手法

ビジネス

中国粗鋼生産、5月は前年比-6.9% 政府が減産推

ワールド

中国の太陽光企業トップ、過剰生産能力解消呼びかけ 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中