最新記事

キャリア

スティーブ・ジョブズがいつも黒のタートルネックだった理由

2017年9月28日(木)19時41分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

2017年9月、アップル現CEOティム・クックのプレゼンテーションの際に映し出された故スティーブ・ジョブズの映像 Stephen Lam-REUTERS

<ジョブズがいつも同じ服装だった理由は「意思決定」と関わりがある。そこから得られる「ファイナンス」のヒント>

故スティーブ・ジョブズはいつも同じ服装だったことで有名だ。その理由を解くカギは「質の高い意思決定」にあると、M&Aの最前線で活躍する若き実務家、正田圭氏は言う。

「意思決定を伴わないファイナンスに価値はない。ファイナンスを伴わない意思決定も同じである」を持論とする正田氏は、このたび上梓した『ファイナンスこそが最強の意思決定術である』(CCCメディアハウス)であらゆるビジネスパーソンに向け、ファイナンスを習得し質の高い意思決定を行うための術を伝授している。

そもそも「意思決定」とは何だろうか。そして、それがなぜジョブズの黒のタートルネックとも関わりがあるのか。本書から一部を抜粋し、3回に分けて掲載するシリーズ。第3回は「3章 ファイナンスが最強の意思決定術である理由」より。

※第1回:AI時代に「超高収入」ファイナンスの専門職は生き残れるか
※第2回:仕事も投資も「アセットアロケーション」でほとんど決まる!

◇ ◇ ◇

ジョブズはなぜ黒のタートルネックを身につけたのか?

 意思決定というと、企業の社長や経営陣が事業計画を立てたり、資金を調達する方法を検討したりするときなどに行うもの、というイメージを持っている人が多いかもしれません。

 でも、それだけが意思決定ではありません。

 誰もが意思決定者なのです。

 例えば、朝起きて、冷蔵庫を覗いてどんなものを食べようかと朝食を選ぶのも意思決定です。

 朝食なんて些細なことと思うかもしれません。しかし、手当たり次第にそこにあるものを食べている人と、栄養に気をつかってバランスのいいメニューを選んでいる人とでは、1年たち、2年たつうちに健康状態は大きく違ってくるでしょう。

 これまでの人生を振り返れば、人はライフステージのあらゆるところで重要な意思決定をしていることがわかります。

 高校のときに文系か理系かを選ぶのも意思決定なら、大学を卒業するときに就職先を選ぶのも意思決定です。

 その他、結婚、転職、不動産の購入など......その時々の意思決定によって、その後の人生に大きな変化が生じたという経験は誰もがしているはずです。

 そして、質の高い意思決定をしたときは、その変化はよい方向に進んだはずですし、逆に質の低い意思決定をしたときは、その変化はとるに足らないものになったか、あるいは自分を窮地に陥れる危機を招いたことでしょう。

 ここでいう「質の低い意思決定」とは、「ただなんとなく選んでしまった」とか、「不本意ながら選ばざるを得なかった」といった、自分の意思の働いていない選択を指します。

 意思決定の質を高めるのに重要なのは、そのような質の低い意思決定をする機会をできるだけ少なくしていくことに他なりません。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 2
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 3
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身も認める「大きな胸」解放にファン歓喜 哺乳瓶で際どいショットも
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 7
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、クリミアのロシア空軍基地に…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中