コラム

トランプ政権の次期駐日大使ジョージ・グラスとは何者か?

2025年01月09日(木)16時00分

駐ポルトガル大使時代のグラスはポルトガルの指導者たちに対し、米中のどちらかを選ばなければならず、誤った選択をすればアメリカの怒りを買うと宣告したが、それでも同国政府から高い評価を得ていた。同じ共和党出身の駐日大使経験者であるハガティー上院議員は、グラスの起用を「素晴らしい人選」と評した。

トランプはグラスの指名を発表する際、実業家としての成功を強調した。トランプの世界観の大半は30代だった1980年代に形成された、という見方に私は強く共感する。日本経済がもうすぐアメリカを追い抜くと懸念されていた時代だ。この説が正しければ、トランプは日本の経済力に対する恐怖と敬意を今後も持ち続ける。


グラスは駐ポルトガル大使の承認手続きの際、冒頭の証言で将来有望な起業家と仕事をするのが楽しみで仕方がないと強調した。経済規模を考えれば、日本に対する期待と興奮は当時をはるかに上回りそうだ。

グラスは東京での最初の数カ月、日本の活気あるテクノロジー産業と豊かな文化を称賛した後で、おそらく26年以降の在日米軍の駐留経費負担をめぐる困難な再交渉の下準備に入るだろう。米軍への支援を大幅に増加させようと「ムチ」を振るうトランプに対し、グラスは「アメ」を与える役を演じることになりそうだ。「25年に力強いスタートを切るトランプと弱い石破(首相)。内政・外交共に驚くべき力のアンバランスが存在する。新大使には『外交的な』振る舞いが求められる」と、米非営利団体ジャパン・ソサエティーのジョシュア・ウォーカー理事長は指摘する。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロ、和平交渉で強硬姿勢示唆 「大統領公邸攻撃」でウ

ワールド

ウクライナ支援「有志連合」、1月初めに会合=ゼレン

ワールド

プーチン氏公邸攻撃巡るロの主張、裏付ける証拠なし=

ワールド

米軍のウクライナ駐留の可能性協議、「安全保証」の一
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story