コラム

創造性神話を打ち砕くベストセラー作家/Cool with...(~でよい)

2015年10月27日(火)16時20分

【今週のTED Talk動画】 Your elusive creative genius - Elizabeth Gilbert http://www.ted.com/talks/elizabeth_gilbert_on_genius?language=en

登壇者:エリザベス・ ギルバート

 2006年にエリザベス・ ギルバートが出版した『Eat, Pray, Love』(邦訳は『食べて、祈って、恋をして――女が直面するあらゆること探究の書』武田ランダムハウスジャパン)は、映画化されるほどの大ベストセラーとなった。彼女はその後、まわりの人から「今後、その成功を越えることは難しいのではないか。大丈夫ですか?」という心配のコメントを沢山もらったそうだ。なぜ彼らは彼女の心の健康についてそれほど心配するのだろうか?

 しかしよく考えてみると、作家などのクリエイティブな人の多くは精神的な苦しみを経験し、その結果として自殺に追い込まれるケースも少なくない。それを踏まえると、「創造性」に関する基本的な考え方を根本的に見直す必要があるのではないかと論じるギルバート氏。彼女はこのTED Talkで、古代ギリシアとローマから学んだ対策法も紹介している。

キーフレーズ解説

Cool with...
~でよい

(動画4:09より)

 何かについて「cool withである」というのは、その現象や状態が大丈夫だと思っている時に使われる表現です。要するに、それがOKだと思っていて、変える必要があると感じていない。

 ギルバート氏が、社会一般で当然のように考えられている「創造性と苦しみは表裏一体である」ということに関して聴衆に投げかける質問は、Are you guys all cool with that idea? (皆さんはその考えでよいのでしょうか?)。その考えは実は変える必要があるのかもしれないというメッセージを紹介するために、この言い方を用いています。

 ここで、典型的な使用例を紹介します:

●He told me he just wants to be friends. I'm cool with that.
(彼は〔デートするのではなくて〕友だちでいたいと言いました。私はそれでOKです)

●I want to get a tattoo but my parents aren't cool with it.
(刺青を入れたいが、親が反対している)

 今年10月10日、オバマ大統領が、政治家になるかもしれないと宣言した歌手に対して冗談を交えたこんなアドバイスを返しました。"First of all, you have to spend some time dealing with some strange characters who act like they're on a reality TV show. So you've gotta be cool with that."(〔政治の世界に入ると〕まずは、リアリティー番組に出ているかのように振る舞う変な奴らに対応するのに時間を使わなければならない。それを我慢できる必要がある)。

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、米軍駐留の可能性協議 ゼレンスキー氏「

ワールド

ロ、和平交渉で強硬姿勢示唆 「大統領公邸攻撃」でウ

ワールド

ウクライナ支援「有志連合」、1月初めに会合=ゼレン

ワールド

プーチン氏公邸攻撃巡るロの主張、裏付ける証拠なし=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story