コラム

「No, thank you.」の消滅......アメリカは日本化しているのか?

2024年01月31日(水)15時00分

日本とアメリカで一体何が起きているのかというと、やはり、ネットを介した「情報量の少ないコミュニケーション」の場合に関係性を悪化させないような知恵が必要ということなのでしょう。これに加えて、アメリカの場合は政治や文化の分断が進んでいる中で、余計な衝突はできるだけ避けたいという知恵も働いいるのだと思います。

ただ、明確な論理でビジネスや政治を先へ進める一方で、オープンでポジティブな態度をデフォルトとする、その上で多様性の共存を図るためには個の尊厳を尊重するような礼節も重んじるというのが20世紀までのアメリカ流ならば、かなり変わってきているのを感じます。

アメリカ文化の特徴が薄まってきていて、アメリカが良くも悪くも日本化しているということも言えるかもしれません。論理や理念より関係性が気になり出していて、しかも良好な関係性はデフォルトとして100%期待できないので、少し努力と警戒が必要ということだからです。


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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

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