コラム

日米首脳会談で起きた3つのサプライズ

2021年04月21日(水)13時30分

3点目は、ワクチンの供給です。4月10日過ぎの時点で、アメリカでは成人全員に対する接種のメドが立ちつつあり、もしかしたら首脳会談で日本への供給が確認できるかもしれないと思っていました。ですが、会談の直前に、ジョンソン&ジョンソン(J&J)製のワクチンの接種が中断される事態になりました。

ですから、日本へのワクチン供給の確約は難しいと思っていたのですが、結果的にファイザー製ワクチンの大量確保にメドが立ったようです。これも良い意味でのサプライズでした。ですが、J&Jワクチンの問題が解決していない中で、確保にメドが立ったというのは、手放しでは喜べない事情を感じます。

アメリカでは、毎日300〜400万件という猛烈なスピードで接種を進めており、高齢者にはほぼ行き渡って、現在は16歳以上の全成人に対象を拡大しつつあります。そんな中で、ここへ来て接種率の拡大が鈍っているのです。その理由として、ワクチンへの忌避や無関心が広がっているという報道が出始めています。

アメリカでのワクチン接種作戦の動向は、日本の世論も注視していると思います。そのアメリカで十分な接種率が確保できず、従って集団免疫の効果も十分に出ないような事態となれば、日本での接種も進まなくなる恐れがあります。ですから、今回の「ワクチン余剰」には手放しで喜べない事情もあるのですが、それはそれとして、日本におけるワクチン確保が前進したというのは、それ自体は朗報だと思います。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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