コラム

コンビニで外国人店員の方が歓迎されるのはなぜか?

2020年08月20日(木)16時20分

都市部ではコンビニの外国人店員がすっかり定着した Issei Kato-REUTERS 

<日本人同士のほうが、敬語の使い方や微妙なニュアンスの違いによってお互いにストレスを感じやすいというパラドックス>

コロナ危機による経済危機を受けて、東京を中心とした大都市ではコンビニのバイトへの応募が増えているそうです。そんななかで、特に東京の場合、コンビニのバイトとして外国人のほうが歓迎されるというケースがあるようです。

具体的には、外国人のバイトの方が笑顔で対応してくれる、基礎能力の高い人が多い、母国語を活かして外国人客に対応してくれる、ほとんどの人が英語ができるといった理由が指摘されています。

反対に日本人の応募者の場合は、大組織にいた人はコンビニの現場に素直に入れない、組織と距離を置いてきた人は対人ストレスを抱えがち、などの問題があるようです。さらに、日本人のほうが待遇面での要求や不満を口にするのでオーナーとしてはやりにくい、などの声もあるようです。

これに対する利用者の声を調べてみても、外国人の店員の方が手際が良いとか、日本人だと対応に「モヤモヤ」することがあるが、外国人の方が爽やかな印象になることが多いというような反応も見られます。

アメリカにおけるアジア系移民への差別

一方で、そのように外国人を評価するようになると、今後、日本の経済や社会の混乱や衰退が進む中では、移民排斥運動や人種差別が進むという懸念の声も出始めています。また、実務能力や英語ばかり評価する能力主義は、「ロスジェネ」への冷酷なまでの無理解と表裏一体だという批判もあります。

移民排斥ということで思い浮かんだのは、アメリカにおけるアジア系移民への差別との類似です。20世紀前半における中国系への排斥法、日系人への差別的な法律の数々、また戦後における韓国系店舗のトラブルなど、アメリカのアジア系は多くの苦難を経験してきました。

そこには「経済的安定を目指して来た移民の高い職業モラル」が「成熟社会にあぐらをかいている既存住民たちの既得権益」を壊すことへの不安があり、それが過酷なまでの差別につながったのでした。日本で起きている問題も、将来これと似たようなトラブルに発展する危険はあると思います。

ですが、現在の日本で起きている問題は、少し違います。それは言語と文化の問題です。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:ホルムズ封鎖で米国産石油の需要急増、精製

ビジネス

印TCS1─3月利益・売上高ともに予想超え、AIは

ビジネス

午前の日経平均は反発、ファーストリテ押し上げで一時

ワールド

アングル:主人公を蘇生し結末改変も、ボリウッド「生
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡散──深まる謎
  • 4
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 5
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 6
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 9
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 10
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story