コラム

ドローン時代の入り口に来たアメリカ

2015年04月23日(木)10時50分

 放射性物質を付着させた小型の無人飛行機(ドローン)が日本の首相官邸の屋上で発見された事件は、アメリカで大きく取り上げられました。どうして関心が高いのかというと、日本へのテロ攻撃を心配しているとか、依然として原発事故関連の放射性物質の問題に神経質になっているといった理由ではありません。

 アメリカでは、ドローンをめぐる「可能性」と「危険性」の論議が高まっているからです。

 まずドローンの可能性についてですが、いわゆる娯楽目的の「ラジコン飛行機」のカテゴリに関しては日本とは比べ物にならないほど普及しており、社会的な抵抗感が少ないこともあって基本的に規制は緩いのが現状です。

 一方で、商用利用に関しては基本的には禁止されていたのですが、アメリカの場合は広大な国土に人口が分散していることから、民間における配送サービスの決定打として、ここへ来てドローンに対する大きな期待感があります。

 例えばネット通販大手のアマゾンは、実際にドローンによる配送サービスを実現すると宣言していましたが、この3月にアメリカの連邦航空局(FAA)から「テスト飛行の許可」が交付され、本格的な飛行テストに入る模様です。また、巨大保険会社のAIG、穀物メジャーのADMなども同じく「テスト飛行の許可」を受けています。

 例えばアラスカ州での石油会社の「油田やパイプラインの監視飛行」に関しては、特例としてすでに許可が下りて実用化もされているのです。

 ではドローンの商用利用に関する規制は決まっているかというと、実はまだ固まっていません。FAAに対しては法律によって「2015年9月」までに、民間のドローン利用に関する規制を決定するという要請がされています。その際には、操縦者免許制度を導入するとか、高度400フィート(120メートル)以下の空域に関しては利用可能とする方向で調整が進んでいるのですが、規制の詳細は決定していません。

 このようにドローン活用に向けた動きが活発化する一方で、問題も色々と出てきています。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ベトナム、EUとの関係格上げ「歴史的節目」と歓迎

ワールド

インドネシア株急落は一時的ショック、経済情勢問題な

ビジネス

消費者態度指数1月は0.7ポイント上昇の37.9、

ワールド

トランプ氏とシューマー氏、政府閉鎖回避に向け合意に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 4
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 5
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 8
    人民解放軍を弱体化させてでも...習近平が軍幹部を立…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    またTACOった...トランプのグリーンランド武力併合案…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 9
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 10
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story