コラム

映画「カーズ」をリアルに再現するスフィロ社の LIGHTNING McQUEEN

2017年06月06日(火)18時00分

Lightning McQueen photo/bryan rowe

<映画「カーズ」の主人公がそのまま飛び出してきたかのようなSphero社のカー・トイは、一見、よくできたラジコンカーに見えるが、実際には過去に例を見ないほどのテクノロジーが詰め込まれているロボティック・カー・トイだ>

LIGHTNING McQUEENといえば、ディズニー/ピクサーの映画「カーズ」の主人公で、人格を持ったレースカーとして描かれるキャラクターだ。

大ヒット映画の人気者だけあって、これまでにも数々のオモチャが作られてはきたが、それらはMcQUEENの外観を再現することが主眼で、本当の意味で彼の個性が感じられるような製品ではなかった。

ただし、それは、ある意味で仕方ないことともいえた。映画の中のMcQUEENは、コンピュータグラフィックスを駆使して、まるで生き物のように表情を変え、車体の動きによって感情まで表現されている。これを物理的なオモチャで実現するのは、至難の技と思えたからだ。

映画の主人公がそのまま飛び出してきた

ところが、このほど登場したスフィロ社のLIGHTNING McQUEENは、ディズニー/ピクサーの全面協力の下、映画のクリエイティブ・ディレクターによる表情や動きの監修も受けて、まるで映画の主人公がそのまま飛び出してきたかのような製品に仕上がっている。一瞥しただけでも、よくできたラジコンカーに見えるが、実際には過去に例を見ないほどのテクノロジーが詰め込まれている。

すなわち、ウィンドシールド(フロントウィンドウ)には専用開発された台形のLCDスクリーンが組み込まれてリアルタイム生成の目のアニメーションが表示され、ラジエーターグリル代わりの口も、映画などで恐竜の動きなどを再現するアニマトロニクス技術によっておしゃべりすることができる。

車の皮を被ったロボット

また、車体をゆすったり傾けたりするためのモーターが駆動用と併せて計6個、ユーザーが触れると反応するタッチパネルがエンジンフードやルーフなどに計5個、そしてMcQUEENの声やエンジン音を高音質で再生するスピーカーシステムとライト類を自動点灯させる光センサーが、それぞれ組み込まれており、まさに車の皮を被ったロボットというべきだ。

【参考記事】スター・ウォーズの球形ロボトイも作ったスフィロ社の教育向けロボット

走りも滑らかそのもので、車体の向きにかかわらず、プレーヤーは自分が向いている方向を常に前と考えてスマートフォンからコントロールできるため、初心者でも簡単に操縦できる。

日本では6月23日から販売が開始され、価格は38.380円(税別)とやや高めだが、McQUEENの実車が家にやってくると考えれば十分納得できる対価かもしれない。


Ultimate Lightning McQueen by Sphero

プロフィール

大谷和利

テクノロジーライター、原宿AssistOnアドバイザー、NPO法人MOSA副会長。アップル、テクノロジー、デザイン、自転車などを中心に執筆活動を行い、商品開発のコンサルティングも手がける。近著に「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか」(現代ビジネスブック)「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著・三省堂)、「東京モノ作りスペース巡り」(共著・カラーズ)。監修書に「ビジュアルシフト」(宣伝会議)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米アトランタ連銀総裁、任期満了で来年2月退任 初の

ワールド

トランプ氏、ネタニヤフ氏への恩赦要請 イスラエル大

ビジネス

NY外為市場・午前=円が9カ月ぶり安値、日銀利上げ

ワールド

米財務長官、数日以内に「重大発表」 コーヒーなどの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 2
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働力を無駄遣いする不思議の国ニッポン
  • 3
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編をディズニーが中止に、5000人超の「怒りの署名活動」に発展
  • 4
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 7
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「麻薬密輸ボート」爆撃の瞬間を公開...米軍がカリブ…
  • 10
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story