コラム

使い慣れたスマートフォンでコンピュータの操作や文字入力を! FlickTyper BT

2017年12月05日(火)10時30分

<パソコンのキーボードよりもスマートフォンのフリック入力のほうに慣れてしまった人も多い昨今、スマートフォンをコンピュータの入力装置にするという逆転の発想から生まれた入力デバイスが登場した>

かつてパーソナルコンピュータの普及期によく耳にした「キーボードアレルギー」は、日常的に使い慣れていないキーボードによる文字入力を敬遠するあまり、コンピュータそのものが嫌いになってしまう心理的な壁のようなものだった。

ところが、今や、どんなに小さな会社や町会の事務所などでもパーソナルコンピュータが使われている。したがって、仕事をする以上はキーボードに触れずに済ますことができない状況にあり、特に若い人たちは、普段からスマートフォンをいじっていることもあって、電子機器そのものに対する苦手意識はなくなったといえる。

フリック入力のほうに慣れてしまった人も多い

しかし、スマートフォンではタッチスクリーンに表示されたソフトキーボードの上で指を滑らせて(=フリックして)文字入力を行うフリック入力が普及し、それに慣れてしまった人も多い。そのために、配列も打鍵による操作方法も異なるコンピュータのQWERTYキーボードでは、入力速度が極端に遅くなるという現象が起こり始めている。

また、カーソルやポインタを動かすのに、いちいちマウスに持ち替えたり、トラックパッドに切り替えることが面倒に感じられることもあり、スマートフォンが使えるからといって、その延長でコンピュータを使いこなせるとは限らないという問題が生じていた。

スマートフォンをコンピュータの入力装置にするという逆転の発想

そこで、スマートフォンをコンピュータの入力装置にするという逆転の発想から生まれたのが、今回採り上げたFlickTyper BT(フリックタイパー・ビーティー)だ、BTは無線規格のBluetoothの略で、スティックメモリのような本体を、パーソナルコンピュータ(MacもWindowsも可)のUSBポートやUSBハブに差し込み、使い慣れたスマートフォン(iPhoneもAndroidも可)からペアリングすれば、ドライバソフトなどのインストール不要で、すぐに利用することができる(MacではANSIキーボードとして認識させ、Windowsでは入力方式に純正のMS-IMEを選択)。

FTBT_2.jpg

スマートフォン側の指の動きで、コンピュータ上のあらゆるアプリの文字やショートカットキーの入力、ポインタの移動まで可能になるのは不思議な感覚だが、すでに慣れた操作なので、練習すらほとんど必要ない。しかも、スマートフォンの予測変換機能がそのまま利用できるため、かなりスピーディに文章を作成できる。

また、ショートカットキーは、よく使うカット、コピー、ペースト、取り消す(アンドゥ)などがプリセットされているほか、ユーザー自身で設定して増やすことも可能だ。現状では、ユーザーが設定したものも含めてショートカットキーの順番を自由に入れ替えられず、一度削除して好みの順に再設定しなくてはならないのが難点だが、これは将来的には改善されるだろう。

怪我や障害で片手しか使えない状態であっても、コンピュータの入力や操作が自在にできるという点でも利用範囲が広がりそうな製品である。


FlickTyper BT iPhone用アプリの使い方

プロフィール

大谷和利

テクノロジーライター、原宿AssistOnアドバイザー、NPO法人MOSA副会長。アップル、テクノロジー、デザイン、自転車などを中心に執筆活動を行い、商品開発のコンサルティングも手がける。近著に「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか」(現代ビジネスブック)「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著・三省堂)、「東京モノ作りスペース巡り」(共著・カラーズ)。監修書に「ビジュアルシフト」(宣伝会議)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

暗号資産テラUSD開発者に禁固15年、暴落で巨額損

ワールド

インド、中国人専門職のビザ審査迅速化 関係改善へ

ワールド

ベトナム、精製レアアース輸出を規制 国内産業支援で

ビジネス

プラダがインド製サンダル発売へ 文化盗用での炎上で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 4
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 5
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 6
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 7
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 8
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story