コラム

ビットコインバブルは2021年ほぼ間違いなく崩壊する

2021年04月19日(月)06時23分
コインベース上場記念のセルフィーを撮る社員、ナスダック

ナスダックのサインの前でコインベース上場記念のセルフィーを撮る社員(4月14日、ニューヨーク) Shannon Stapleton-REUTERS

<ビットコインがバブルであることは、ビットコインの支持派、反対派ともに合意している。合意がないのは、そのバブルが崩壊するのはいつか、ということだ>

私は、今年崩壊すると思う。理由は、上がりすぎたからだ。

歴史的に、バブル崩壊の理由は、ほとんどすべてのケースにおいて上がりすぎたことが原因である。急激に上がったということは、急上昇の局面で買った人々がいるということだ。彼らが保有し続ける理由はただひとつ。上がり続けると信じているからであり、そして、その信仰が実際の上昇によって裏付けられるからだ。

逆に言えば、その裏づけが消えればパニックになって、投売りをする。投売りは投売りを呼び、暴落は一瞬で起こる。

唯一持続可能なバブルは、次々と新しい買い手が現れ、常に今までよりも高い値段で買い続けるもの。

実際、これまで起きていることは、これである。そして、乱高下が起こるのは、いったん、パニック売りになって暴落した後に、懲りない人々が、損した分を取り返そうと、もう一度安くなったところから買い戻し始めるからだ。

永遠に上がり続けることはできない

このとき、初めて買う人々も加われば、買い手は増えていくことになる。そうすると、以前よりも盛り上がるバブルが生まれる。買い手の総量が増えるからだ。そして、上昇していけば、含み益が膨らんでいくから、以前損した人々も、まだ損をしたことがない人々も、さらに上がることを期待して持ち続ける。あるいは売買を繰り返す。

そうなると、乱高下を繰り返し続けながら、永遠にあがっていくのではないか? そういう想像が膨らむかもしれないが、もちろんそれは妄想である。

永遠に上がり続けるしか持続可能にはならないが、無限大になるまで上がることは理論的にありえないので、どこかで崩壊し、それはゲームオーバーとなる。

これは、1980年代に経済学の世界でも確立されている、合理的バブルのモデルであるが、それ以前も、それ以後も、永遠に上がり続けたものはない。そうなると、それらはどこかで崩壊するのだ。

問題はそれが2021年であるか、まだ先か、あるいはまだまだ先か、ということに尽きる。

今年崩壊すると予想される理由は3つある。

第一には、今年の上昇が急激だからである。バブル崩壊の最後は急激に上がって破裂するパターンがある。それは、保有している人々がそろそろこれだけ上がったから売っておこうと思うからだ。一方、直近で買った人々は、ものすごく上がってから買っているから、少しの暴落でもパニックになる。となると、これまで保有し続けてきた人々が売り、それに誘発されて、直近で買った人々も売り、売りが売りを呼ぶ展開になる。

プロフィール

小幡 績

1967年千葉県生まれ。
1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現財務省)入省。1999大蔵省退職。2001年ハーバード大学で経済学博士(Ph.D.)を取得。帰国後、一橋経済研究所専任講師を経て、2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應ビジネススクール)准教授。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。新著に『アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか』。他に『成長戦略のまやかし』『円高・デフレが日本経済を救う』など。

ニュース速報

ビジネス

中国の投資信託、個人の敬遠姿勢が鮮明に 景気失速で

ビジネス

日銀、金融政策は現状維持の公算 物価上振れでも2%

ビジネス

ドイツ企業の対中投資、ゼロコロナ解除後も回復せず=

ワールド

中国がキューバにスパイ施設設立とWSJ報道、米・キ

MAGAZINE

特集:最新予測 米大統領選

2023年6月13日号(6/ 6発売)

トランプ、デサンティス、ペンス......名乗りを上げる共和党候補。超高齢の現職バイデンは2024年に勝てるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1

    【動画・閲覧注意】15歳の女性サーファー、サメに襲われ6針縫う大けがを負う...足には生々しい傷跡

  • 2

    ウクライナの二正面作戦でロシアは股裂き状態

  • 3

    新鋭艦建造も技術開発もままならず... 専門家が想定するロシア潜水艦隊のこれから【注目ニュースを動画で解説】

  • 4

    「中で何かが動いてる」と母 耳の穴からまさかの生…

  • 5

    ロシア戦車がうっかり味方数人を轢く衝撃映像の意味

  • 6

    性行為の欧州選手権が開催決定...ライブ配信も予定..…

  • 7

    いま株価が上昇するのは「当たり前」...株高の「現実…

  • 8

    ロシアの「竜の歯」、ウクライナ「反転攻勢」を阻止…

  • 9

    ワニ2匹の体内から人間の遺体...食われた行方不明男…

  • 10

    BTSのSUGA、日本のファンに感謝伝える「アミシカカタ…

  • 1

    ロシアの「竜の歯」、ウクライナ「反転攻勢」を阻止できず...チャレンジャー2戦車があっさり突破する映像を公開

  • 2

    「中で何かが動いてる」と母 耳の穴からまさかの生き物が這い出てくる瞬間

  • 3

    ウクライナの二正面作戦でロシアは股裂き状態

  • 4

    【動画・閲覧注意】15歳の女性サーファー、サメに襲…

  • 5

    米軍、日本企業にTNT火薬の調達を打診 ウクライナ向…

  • 6

    敗訴ヘンリー王子、巨額「裁判費用」の悪夢...最大20…

  • 7

    「ダライ・ラマは小児性愛者」 中国が流した「偽情報…

  • 8

    【ヨルダン王室】世界がうっとり、ラジワ皇太子妃の…

  • 9

    ロシア戦車がうっかり味方数人を轢く衝撃映像の意味

  • 10

    【画像・閲覧注意】ワニ40匹に襲われた男、噛みちぎ…

  • 1

    【画像・閲覧注意】ワニ40匹に襲われた男、噛みちぎられて死亡...血まみれの現場

  • 2

    カミラ妃の王冠から特大ダイヤが外されたことに、「触れてほしくない」理由とは?

  • 3

    「ぼったくり」「家族を連れていけない」わずか1年半で閉館のスター・ウォーズホテル、一体どれだけ高かったのか?

  • 4

    F-16がロシアをビビらせる2つの理由──元英空軍司令官

  • 5

    築130年の住宅に引っ越したTikToker夫婦、3つの「隠…

  • 6

    歩きやすさ重視? カンヌ映画祭出席の米人気女優、…

  • 7

    「飼い主が許せない」「撮影せずに助けるべき...」巨…

  • 8

    預け荷物からヘビ22匹と1匹の...旅客、到着先の空港…

  • 9

    キャサリン妃が戴冠式で義理の母に捧げた「ささやか…

  • 10

    ロシアはウクライナを武装解除するつもりで先進兵器…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story