コラム

いま必要な政策は何もしないこと

2021年11月11日(木)18時25分
岸田文雄

第2次岸田内閣発足(11月10日)。今度は何か変わるか? Issei Kato-REUTERS

<日本の政治家は経済をダメにすることばかりする。その実態は、やったふりをするための弱い者いじめだ>

なぜ政治家たちは、無駄なことばかりやろうとするのか。

いや無駄どころか、社会に害のあることばかりやろうとする。そしてやってしまう。

子供にカネをばらまくのももちろんそうだし、GoToもその典型だ。

では、何をすればいいのか?

何もしないことだ。

まず、過度な行動制限をしない。

カネをばらまいて、消費を刺激するのは最も愚かな政策だ。

消費が減った分野があるが、それは行動を制限したからだ。だから、その制限を止めればいい。

国内の行動制限を止める。ワクチンとマスク。それと過度な密は避ける。それで十分だ。

次に、国際的な人流の過度な制限を止める。

なぜ、留学ビザをいままで完全に停止していたのか。

隔離期間を3日にする前に、10日間でもいいから、ヴィザは全面解禁するべきだ。

なぜいまだに1日3500人などという意味不明の規制、過剰な制限を続けるのか?

隔離違反する奴がいる、というのなら、徹底的に隔離の監視をすればいい。

なぜやるべきことをやらずに、過剰な制限、規制をかけるのか。

怠慢だ。

医師会とは対峙せず

それと、医療。

菅前総理は仕事がしたい、とあんなに言っていたのだから、一番大事なことは、学術会議でもなく、GoToでもなく、医師会と対峙することだ。当たり前の必要なことを言うことだ。国の、世界の危機、そして、国民の健康の危機。そのときに、全面協力しないとはどういうことか。カネをばらまいても結局動かない。

それは無理を言っていることでもなく、対決することでもない。ただ、普通の協力を求めることだ。

それをやらずに何の仕事をする必要があったのか。

ワクチンができるのなら、医療に普通の危機対応を依頼し、必要に応じて命令することが、できないのでは、仕事ができない、と言わざるを得ない。

これらの最低限必要なことを何もやらずに、無駄な過剰な制限だけかけている。

弱い者いじめだ。

強いものには歯向かえず、弱いもの、黙っているものには圧力をかけ、負担を強いる。

強いものに何もできないなら、すべて、何もするな。

仕事をしているふりをするのはやめて、必要最小限のことを普通にちゃんとやる。

それだけのことだ。

後は、何もしなくていい。

*この記事は「小幡績PhDの行動ファイナンス投資日記」からの転載です

プロフィール

小幡 績

1967年千葉県生まれ。
1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現財務省)入省。1999大蔵省退職。2001年ハーバード大学で経済学博士(Ph.D.)を取得。帰国後、一橋経済研究所専任講師を経て、2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應ビジネススクール)准教授。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。新著に『アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか』。他に『成長戦略のまやかし』『円高・デフレが日本経済を救う』など。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story