最新記事

仮想通貨

ビットコインが定着するか崩壊するか、運命が決まる時は間もなく来る

TOO BIG TO FAIL?

2021年4月14日(水)18時56分
アダム・ピョーレ(ジャーナリスト)
ビットコイン(イメージ)

ALLANSWART/ISTOCK

<ここにきて相場が急騰しているビットコイン。大企業や金融大手も参入して普及への流れは止まらない?>

前回のビットコイン・バブルがはじける直前のこと。人気セレブのパリス・ヒルトンが独自の暗号資産(仮想通貨)を発行して話題を呼んだ頃、金融大手ゴールドマン・サックスの元幹部であるマイケル・ノボグラッツは、ニューヨークで行われた仮想通貨関連のイベントで講演を行った。

ビットコインブームの旗を振ってきたノボグラッツは、お堅い金融関係者の前で話すことには慣れていた。しかし、この日は違った。講演を終えると、ロックスターさながらに、聴衆のミレニアル世代の若者たちにもみくちゃにされた。

「みんな私と写真を撮りたがった。恥ずかしそうに『サインしてください』と言う女の子たちまでいた。いくらなんでもおかしな状況だった」と、ノボグラッツは振り返る。
「そこで、私はビットコインを少しずつ手放し始めた」

これは賢明な判断だった。その後、ビットコイン価格は下落し、2018年末には1ビットコイン(BTC)=4000ドルを割り込んだ。

ところが、最近再び相場が急上昇している。20年9月に1BTC=約1万1000ドルだったのが、21年1月には4万ドルを突破。3月には一時6万1000ドル台に乗せた。再びバブルが崩壊するのではないかと恐れる声も聞こえ始めている。

しかし、前回と異なる点が少なくとも1つある。今回は、金融界のエスタブリッシュメントもビットコインなどの仮想通貨の急騰を後押ししているのだ。

いま世界の国々で金利がゼロ近くに張り付き、コロナ不況を受けての景気刺激策で各国政府が莫大な債務を積み上げ、株式相場は一部の投資家が非合理と感じる水準にまで上昇している。企業経営者や機関投資家は、資金の置き場所にますます頭を悩ませるようになってきた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メラニア夫人、プーチン氏に書簡 子ども連れ去りに言

ワールド

米ロ首脳、ウクライナ安全保証を協議と伊首相 NAT

ワールド

ウクライナ支援とロシアへの圧力継続、欧州首脳が共同

ワールド

ウクライナ大統領18日訪米へ、うまくいけばプーチン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 6
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 7
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 10
    「デカすぎる」「手のひらの半分以上...」新居で妊婦…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 10
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中