コラム

規制緩和の進む電動キックボード、「二輪」よりも日本に必要なのは

2022年02月16日(水)14時50分
電動キックボード

範囲内ではどこでも乗り捨てできる「自由さ」が魅力(写真はイメージです) Garrett Aitken-iStock

<ラストマイルの選択肢が増えるのは良いことだが、電動キックボードの普及には事故などの懸念も少なくない。そうした課題に向き合い、その先で議論すべきこととは?>

JR有楽町駅前のおしゃれなカフェ。入り口ドア付近には3台の電動キックボードが置いてある。コーヒー休憩を終えた30代の女性は、そのうちの1台をアプリで借りて出ていった。街には電動キックボードのポートが次々に設置され、街の風景としてなじんできている。利用者は都内で働いていたり、大学に通ったりしている20~40代の利用が多い印象だ。

従来の公共交通やカーシェア、自転車シェアに加え、"おしゃれ"で"かっこいい"ラストマイルの選択肢が増えることは良いことだ。

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JR有楽町駅前のカフェに置かれた3台の電動キックボード 筆者撮影(一部編集)

乗り捨て自由なシェアリングサービス

インターネットの環境が整備され、スマートフォンが普及したことにより、人を介さずに借りることができる、さまざまなモビリティシェアリングサービスが登場した。

2007年にスタートしたパリの「Velib'(ヴェリブ)」やEVと充電スタンドを大胆に導入したカーシェア「Autolib'(オートリブ)」、送り手と乗り手をマッチングする米カルフォルニア州発の「Uber(ウーバー)」のライドシェアなどがその例で、2016年頃からは中国などで爆発的に増えた乗り捨て可能な自転車シェアが注目された。

それに続いて登場したのが、キックボードに電動モーターを付けた電動キックボードだ。海外では「eスクーター」と呼ばれている。貸出・返却場所が固定されていないカーシェアや自転車シェアと同様に、決められた範囲内ではどこでも乗り捨て自由なシェアリングサービスで、Lime(ライム)やBird(バード)などを中心に4年前くらいから欧米で流行り始めた。

グーグルマップやMaaSアプリにも

新型コロナウイルス流行前の2019年と20年に筆者はバルセロナ、パリ、ベルリン、ウィーン、コペンハーゲンなどを訪れたが、自転車ほどではないものの電動キックボードシェアを使う人をたびたび見かけた(ロンドンなど見かけない都市もあり、国によってばらつきはあった)。

ベルリンでは、グーグルマップの経路検索の自転車で、電動キックボートのルート検索や周辺の電動キックボードの位置も調べることができる。またMaaSアプリにも電動キックボードや電動モペットのシェアがあった。当時は都内ですらグーグルマップで自転車ルートの検索ができなかったこともあり、画期的に見えた。

自転車シェアには貸出・返却場所「ポート」があるが、電動キックボードにはポートがないサービスもある。道端に置いてあるものを見つけて借りたり、どこでも乗り捨てることができるのだ。

プロフィール

楠田悦子

モビリティジャーナリスト。自動車新聞社モビリティビジネス専門誌『LIGARE』初代編集長を経て、2013年に独立。国土交通省の「自転車の活用推進に向けた有識者会議」、「交通政策審議会交通体系分科会第15回地域公共交通部会」、「MaaS関連データ検討会」、SIP第2期自動運転(システムとサービスの拡張)ピアレビュー委員会などの委員を歴任。心豊かな暮らしと社会のための、移動手段・サービスの高度化・多様化とその環境について考える活動を行っている。共著『最新 図解で早わかり MaaSがまるごとわかる本』(ソーテック社)、編著『「移動貧困社会」からの脱却 −免許返納問題で生まれる新たなモビリティ・マーケット』(時事通信社)、単著に『60分でわかる! MaaS モビリティ革命』(技術評論社)

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