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災害対策、事故予防に 気象データの活用がモビリティ分野にもたらすメリット
気象データについて「あらゆる業種でビジネスに有効活用できる余地がある」と専門家は言う(写真はイメージです) Petrovich9-iStock
<気象と交通、気象と人の移動は切っても切れない関係にある。気象データを使うことで可能になることとは?>
日本は世界の中でも気候変動の影響を大きく受けている国の一つだという見方がある。
国土交通白書2020によると、日本の国土面積は世界の0.25%。にもかかわらず、地震の発生回数は世界の18.5%を占める。また、世界に約1500あると言われる活火山のおよそ1割が日本にあり、いかに自然災害と隣り合わせの環境であるかが分かる。
大雨や短時間強雨(1時間の降水量が50mm以上)の年間の発生回数を「1976年から85年」と「2010年から19年」で比較すると約1.4倍に増加しているという。
西日本豪雨、全国初の「災害時BRT」からの学び
こうしたことから以前にも増して、災害対応が重要になってきている。公共交通の災害対策として業界で注目された取り組みがある。2018年7月に発生した西日本豪雨の際に活躍した「災害時BRT」だ。
当時、広島市と呉市の約1万8000人の通勤・通学者は移動手段を失った。その際に「災害時BRT」は発案された。
災害時BRTは、一般車両が通行止めとなった高速道路・自動車専用道に路線バスなど指定されたバス車両を通行可能にすることで速達性・定時性を確保する方法だ。まず代替バスを走らせ、速達性を上げるために2車線のうち1車線をバス専用空間にした。
業界で注目された理由は、全国初の取り組みであったのはもちろんのこと、地域で早期に連携し、難しいとされる高速道路本線上でのバスレーンや自動車専用道でのUターンを実現させたためだ。ダイヤが乱れるなか、情報発信を工夫した点も注目された。
「災害時BRT」を命名し、地域のブレーンとして現場で動いた呉工業高等専門学校の神田佑亮教授は、当時を振り返って次のように教訓を述べている。
「西日本豪雨の被害総額は約1000億円と言われる。災害への備えや長期化する被災者の復興生活が注目されているが、発災後の早期復旧の体制づくりや方法にも視野を広げるべきだ。被災すると一社のBCP(事業継続計画)の範囲を超えてくる。交通業界は官民関係の構築が難しいとされるが、災害対策のためには緩やかな連携が不可欠だ」
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