コラム

英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった

2025年10月25日(土)18時40分

若者や観光客は一列に並んで待つのが自然

誤解がないよう説明しておくと欧州の中で英国は行列をつくるのが好きな国の一つだ。列の最後に並ばないと必ず注意される。一方、パブや混雑しているケバブ店ではカウンターに客が殺到するものの、店のスタッフは順番や注文を間違えずテキパキさばいていく。

YouGovの世論調査では「この1年間にパブのカウンターで一列に並んで待つのを見たことがあるか」との問いに38%が「一度も見たことがない」と答える一方で、19%が「1〜2回」、6%が「何度も」と回答した。一列賛成派は40%、従来方式派は39%と世論は拮抗している。

コーヒーショップ式に慣れた若者や観光客は一列に並んで待つのが自然と感じている。伝統の押し合いへし合い式では声が大きく、チップを振りかざす客が有利になり、女性や若者には不利だった。混雑時に注文順をめぐる口論が発生しにくくなり、新人スタッフの負担が軽くなる。

コロナ後は「整列して間隔を取る」のが社会的習慣に

コロナ後、公共空間では「整列して間隔を取る」のが社会的習慣となった。スマホアプリで座席から注文できる仕組みを導入するパブも増えた。一列方式の導入は「アプリを使わない客」用に秩序をもたらす狙いもある。

ビール1パイント(568ミリリットル)の価格は平均5.65ポンド(1149円)だが、ロンドン中心部では10ポンド(2034円)近い店もある。英国ではグループ全員分の飲み物をまとめて1人が注文・支払うことで仲間意識を強める伝統があるが、この前5人分を支払って飛び上がった。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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