コラム

英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった

2025年10月25日(土)18時40分

そもそも若者のアルコール離れは急激に進んでいる。この20年間に英国では直近の1週間に飲酒した成人の割合はおおむね7〜8ポイント低下。16~24歳の若者世代は週1回以上の飲酒は67%から36%に31ポイントも激減した。全く飲まない人口も増えている。

ノンアルコールビールブランドが運営する英国初のパブ「ラッキー・セイント」が23年ロンドン中心部メリルボーンに開店。英誌エコノミストによると、売上の約15%がノンアル飲料。クリスマス明けの1月断酒が主流だったが、今では年間を通してノンアルを飲む客が増えている。

アルコールは「非感染性疾患の主要因」

世界保健機関(WHO)はアルコールをタバコや化石燃料、超加工食品、格差とともに「非感染性疾患の主要因」に加える。飲酒は安全ではないとの健康メッセージが定着し、コロナ期の「巣ごもり飲酒」後、ビールは横ばいだが世界のアルコール消費量は減少している。

英国のパブ文化も大きな転換点を迎えている。パブ大手ウェザースプーンはカウンター前で押し合いへし合いするパブの伝統を改め、スターバックスのようなコーヒーショップ式に一列に並ぶシステムを試験導入した。若者世代の精神的負担と心理的な抵抗を減らすためだ。

ロンドン南東部ロザーハイズの店で導入され、「一列方式により公平なサービスの提供を保証します」と張り出した。しかし常連客から「いいバーマンなら客が一列に並ばなくても次が誰の番か分かるものだ」「これではパブではなく学校の食堂だ」と不満が噴出した。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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