スイス中銀、ゼロ金利を維持 米関税引き下げで経済見通し改善
写真はスイス国立銀行。12月11日、ベルンで撮影。REUTERS/Pierre Albouy
John Revill
[ベルン 11日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は11日、市場の予想通り政策金利をゼロ%に据え置いた。据え置きは2会合連続。米国との貿易合意によりスイス製品への関税が引き下げられ、経済見通しが改善したと指摘した。
スイスの国内総生産(GDP)は第3・四半期に0.5%縮小し、11月のインフレ率はゼロ%と中銀の目標レンジ(0─2%)の下限となった。
中銀は声明で「ここ数カ月のインフレ率は予想を若干下回った。ただし、中期的なインフレ圧力は前回の金融政策評価時と比べておおむね横ばいだ」との認識を示した。
<見通しはわずかに改善>
中銀は「米国の関税引き下げと世界経済の一定の改善により、スイスの経済見通しはやや上向いた」と指摘した。
アナリストは関税引き下げによってスイス製の時計、チョコレート、機械類などが米市場からの締め出しリスクが和らぎ、スイス経済への打撃が軽減されるとみている。
EFG銀行のエコノミスト、ジャンルイジ・マンドルッツァート氏は「今日の決定は驚きではなく、まさに市場が予想していた通りだ」と述べた。「スイスのインフレ率は低いが、一時的な現象で、原油価格など金融政策ではコントロールできない要因が背景にあると中銀はみている」と分析した。
同氏は第3四半期以降、景況感が持ち直しているとの見方を示し、「米国の関税引き下げと欧州の堅調なデータはスイス経済を下支えする」と述べた。
中銀は今後数四半期のインフレ見通しをわずかに下方修正したものの、インフレ率が2027年末にかけて0.7%まで徐々に上昇すると予測した。「予測期間全体を通じて、物価は安定の範囲内にある」と強調した。





