コラム

和解に向けた第一歩に? ヘンリー公爵とチャールズ国王が19カ月ぶり再会...エリザベス女王逝去3年

2025年09月11日(木)19時41分

ヘンリー夫妻は資産を5〜7年で食い潰す恐れ

国王ががん治療を続ける中、双方にいつまでも不毛な対立を続けるわけにはいかないという思いがある。ヘンリー公爵が身辺警護を巡る法廷闘争を断念したことで残された障害はなくなった。そして英王室を離脱して5年以上が経つヘンリー公爵とメーガン夫人の台所事情は苦しい。

『ハリー&メーガン』以降、ヒットに恵まれない2人はNetflixに大幅格下げ契約をのまされた。ダイアナ元皇太子妃の没後30年(2027年)番組を企画しているとも報じられる。大型契約やブランド構築、講演活動が実を結ばなければ資産を5~7年で食い潰してしまう恐れがある。

英国の大衆紙は19カ月ぶりの再会を「和解の兆し」として大きく扱ったが、王室ウォッチャーの中には「パフォーマンスにすぎない」と冷ややかに見る向きもある。チャールズ国王はヘンリー公爵との再会で「国王の寛大さ」を印象づけることができた。

ヘンリー公爵が沈黙を守れるかどうかが試金石

アン王女やカミラ王妃は公の場では沈黙しているが、本音は「和解に懐疑的」との報道もある。がんの化学療法が終わり、寛解に入ったキャサリン皇太子妃も沈黙を守る。父子関係には小さな和解の兆しが見えるものの、これから長い道が待ち受ける。

将来の国王ウィリアム皇太子とヘンリー公爵との関係修復は極めて困難で2人は言葉すら交わしていない。ヘンリー公爵がこれまでのように王室や家族の内幕の暴露を続ければ関係は悪化するだけだ。ヘンリー公爵が沈黙を守れるかどうかが、信頼回復に向けた試金石となる。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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