最新記事
ルポ

「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに

EXPLOITED ABROAD

2025年9月5日(金)17時10分
本田 歩(NNAオーストラリア記者、シドニー在住)
オーストラリア・カブルチャーのイチゴ農場で賃金カットや未払いに遭った日本人

カブルチャーのイチゴ農場で賃金カットや未払いに遭った高橋 MIHO WATANABE FOR NEWSWEEK JAPAN

<「稼げる」ワーキングホリデーに日本人が殺到しているが、一部にはびこる実態は報道されるイメージとはかけ離れている──>

円安の日本から、若者がオーストラリアに「出稼ぎ」に行く時代に。しかし一部には「労働搾取」と「悪徳農場」がはびこり、被害にあっても泣き寝入りするしかないという現実が。日本の若者を搾取する「豪ワーホリの闇」を3回に分けてリポートする。本記事は第1回。

◇ ◇ ◇

日本の若者が「稼げる」ワーキングホリデーを夢見て殺到するオーストラリアには、出稼ぎ労働者が搾取される現実があった──。

製薬会社の営業マンとして福岡で働いていた頃の岡野隼大(35)は、朝8時半から長いときには深夜2時まで、平均して1日14時間の激務だった。それを3年続けた頃、鬱状態になった彼は心身を休めようと西表島に渡った。


今度は土産店で正社員としてフルタイムで働き、残業はなくなったが、その分手元に残る額も大きく減った。月給13万円で手取りは約10万円。手元に残る額はわずかだった。だが4年後の2024年3月、岡野の預金口座は残高1300万円を示していた。30代の平均貯蓄の2倍強だ。

実は西表島の土産店で働いた後の20年2月、新型コロナウイルスが猛威を振るい始める直前、岡野は一縷(いちる)の望みを抱いてオーストラリアに飛んだ。

ワーキングホリデー(ワーホリ)ビザを取得し、3年間、卵工場や肉の解体工場での作業員、ドラゴンフルーツの収穫労働者など、さまざまな職種に挑戦。

最寄りの都市まで、車で少なくとも2時間はかかるような地方の職場をあえて選んだ。物価高の中、日本よりも高い生活費を抑えようと、家賃が安く、近くにレストランもない場所に住み、毎日自炊するというのが効率よく貯金するための彼の戦略だった。

地方自治体
人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に安心な水にアクセスできる社会の実現へ
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米政府の代表団乗せた飛行機、パキスタンに到着 イラ

ビジネス

経産省、ラピダスへの6315億円の追加支援決定 総

ワールド

宇宙船オリオン、4人乗せ地球に無事帰還 月の裏側を

ワールド

アングル:イラン戦争でインフレ再燃、トランプ政権に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 7
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 10
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 8
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 9
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 10
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中