コラム

高まる「トランプ的」ローマ教皇の待望論...改革派フランシスコ教皇への「反発のマグマ」が噴出か

2025年04月24日(木)11時31分

20日、フランシスコはイタリアを訪問したJDバンス米副大統領と質素な住まいで面会した。バンス氏はカトリックに改宗した熱心な信者だが、両者はトランプ政権の移民政策、特に大規模な強制送還措置を巡り対立してきた。

最後となったサンピエトロ広場でのミサでは「新たな希望を抱き、他者への信頼を蘇らせたい。自分と異なる者や遠い土地から来て馴染みのない習慣、生活様式、思想をもたらす者たちに対して。私たちは皆、神の子供なのだから」とのメッセージが代読された。

「橋を考えず壁をつくる人はキリスト教徒ではない」

2016年の米大統領選でフランシスコはメキシコ国境に壁をつくるドナルド・トランプ大統領の公約を「橋を架けることを考えず壁をつくる人はキリスト教徒ではない」と批判した。トランプ氏は「バチカンが過激派組織ISに攻撃されたら彼らの戦利品になるだろう」と侮辱した。

今回トランプ氏は自らが創設したSNS「トゥルース・ソーシャル」で「神様が彼と彼を愛したすべての人を祝福しますように」と追悼した。しかしトランプ支持者の一部は「トランプのような教皇」の誕生を求め、伝統的なキリスト教の価値観を復活させるよう呼びかけている。

性的少数者LGBTQ+に対してより慈悲深いアプローチをとったフランシスコは同性カップルの「シビルユニオン」(市民的結合)を支持し、特定の状況下で神父が同性カップルに祝福を授けることを許可した。こうした改革への保守派の反発がある。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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