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50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント

Diet for Over-50s

2025年8月28日(木)14時02分
パトリシア・ヤルノス・エスキロス(スペイン・ナバラ大学臨床准教授)
タンパク質や野菜を意識したバランスの良い食事をとる様子

タンパク質は動物性と植物性をバランスよく取ろう TORJRTRX/SHUTTERSTOCK

<エクササイズでもワークアウトでも、体を動かすことは健康づくりに不可欠。だが、トレーニングだけに頼っていては効果は長続きしない>

最近、50歳以上で運動を始める人が増えている。ジムに通う人、ジョギングを始める人、ヨガや筋トレに挑戦する人──。医師たちも大歓迎するトレンドだ。

ただし、長年あまり運動をしていない人や、体重が気になる人は要注意。いきなりハードな運動を始めると、筋肉や骨を痛めるリスクが高まる。50歳を過ぎると、加齢による筋肉や骨の減少が進むため、その危険はさらに大きい。


新しく運動プログラムを始める前には健康状態をチェックして、必要に応じてミクロ栄養素のサプリメントを使うことも考えたい。

ミクロ栄養素とはビタミンやミネラルのことで、必要量は少ないものの、体のさまざまな機能を正常に働かせるために欠かせない。それに加えて、炭水化物、脂質、タンパク質というマクロ栄養素も必要だ。

50歳から運動を始めるときに気を付けたい食事のポイントを挙げてみる。

◇ ◇ ◇

カギはタンパク質

タンパク質は健康な体づくりの要。筋肉量を維持・増加させるのに不可欠な必須アミノ酸を供給し、加齢に伴う筋肉の損傷や骨粗鬆(こつそしょう)症、筋肉量や筋力の低下を防いでくれる。

50歳以上で適度に運動している人の場合、1日に必要なタンパク質は体重1キロ当たり1〜1.5グラムが目安とされている。

ただし、運動量を増やさずにタンパク質の摂取だけを増やすのは好ましくない。腎臓でのカルシウム再吸収が減り、尿中へのカルシウム排泄が増えるため、特に骨の健康に悪影響を及ぼす可能性がある。

動物性と植物性をバランスよく

摂取するタンパク質は、肉や魚、卵、乳製品に含まれる動物性と、大豆やピーナツ、レンズ豆、種実類などに含まれる植物性を組み合わせるのが理想的だ。

ただし最近は、医療と栄養面の適切な管理があれば、ベジタリアン向けの食事でもハードな運動に対応できることが分かっている。

何を食べるかだけでなく、いつ食べるかも重要だ。タンパク質は1回にまとめるよりも1日3食に分けて取り、さらに運動の前後30分に取ることで、体への吸収が高まる。

重要なミクロ栄養素

この年代での運動には、マグネシウム、カルシウム、ビタミンDなどのミクロ栄養素が大切な役割を果たす。

マグネシウムは筋肉の回復や骨の形成を助け、小麦ふすま、チーズ、カボチャの種、亜麻仁などに含まれる。

カルシウムは骨を丈夫にするのに欠かせない栄養素で、血中カルシウム不足に伴う骨密度の低下(骨減少症)を防ぐ。乳製品はカルシウムが豊富なだけでなく、吸収率が最も高い食品だ。

タヒニ(ゴマペースト)、アーモンド、大豆、ナッツ類もカルシウム源になるが、吸収を妨げる成分も入っているので要注意。

ビタミンDは、サケやマグロ、イワシなど脂ののった魚や卵黄に多く含まれ、50歳以上の骨の健康を支える重要な栄養素だ。

水分補給も忘れずに

どんなに栄養を意識しても、水分補給を怠れば台無しだ。運動の前、途中、後に小まめに水分を取ろう。ただし、取りすぎるとパフォーマンスを落とし、けがのリスクを高めるので注意が必要だ。

The Conversation

Patricia Yárnoz Esquíroz, Profesor Clínico Asociado, Universidad de Navarra

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.


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