コラム

「リベラル偏向」メディアに対抗...視聴率でBBCを超えた新興チャンネルが英国に撒き散らす「毒」

2025年08月05日(火)17時14分
保守派チャンネルのGBニュース

GBニュースで番組司会者を務めるナイジェル・ファラージ(2019年6月) Stuart Mitchell / SOPA Images/Si via Reuters

<リフォームUKのファラージ党首などが出演し、「右寄り」の本音トークで物議を醸すニュースチャンネル「GBニュース」の勢いが止まらない>

[ロンドン発]建前ではない本音トークで政治や社会事象を切る英国の新興放送局「GBニュース」の視聴率が初めて公共放送の英BBC放送を上回ったことが公式視聴率調査機関Barbの最新データで分かった。英国の放送界に激震が走った。

設立4周年を迎えたGBニュースは7月、1日平均8万600人の視聴者を獲得。BBCニュースの7万8700人、24時間ニュース専門チャンネル「スカイニュース」の6万7000人を上回った。GBニュースは朝の番組と平日のゴールデンタイム、日曜朝の政治番組でも大成功を収めた。

日本では放送法4条で放送番組の編集に当たって政治的に公平であることが求められる。一方、英国のGBニュースは、リベラル偏向の「毒消し」として人気を集める米国のFOXニュースと同じように右寄り本音トークで物議を醸すことが少なくない。

No1チャンネルを目標に「さらに大きな変化が」と意気込む

GBニュースは「独自のニュース、意見、討論」を軸に据え、英国の欧州連合(EU)離脱を主導した新興の強硬右派政党リフォームUK(改革英国)のナイジェル・ファラージ党首や保守系英紙デーリー・テレグラフのカミラ・トミニー副編集長らが番組の司会を務める。

ジャーナリズムや報道に特化した英業界誌プレス・ガゼット(8月1日付)によると、BBCニュースの週間リーチはGBニュースの2倍以上、スカイニュースもほぼ2倍。オンデマンドやYouTubeの視聴を加えるとBBCニュースやスカイニュースの優位は揺るがないと解説する。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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