英仏海峡を渡る「ボート難民」は昨年3万7000人

英仏海峡を渡る「ボート難民」は昨年、前年比25%増の3万7000人。今年上半期はさらに増えた。18~24年の渡航者の7割はイラン、アフガン、イラク、アルバニア、シリア、エリトリアの6カ国からだ。これまでに全渡航者の3%に当たる約5000人が英国から強制送還された。

難民受け入れ費用は16年の4億1000万ポンドから23年には42億7300万ポンドに膨れ上がった。それでなくても難民の受け入れ費用がかさむのに、レイプ事件を起こされてはたまったものではないというのが英国市民の偽らざる本音だろう。

難民を受け入れなければそもそもレイプ事件は起きなかった。こうした右寄り本音トークは人間の防衛本能に突き刺さる。日本の参院選で「日本人ファースト」を掲げた参政党が躍進した理由もここにある。

しかしナチスのユダヤ人虐殺をみれば分かるように難民のようなマイノリティーは格好の「生贄の羊」になる。

英国への「ボート難民」はリフォームUKのファラージ氏が主導したEU離脱後の18年以降に大幅に増加した。そのファラージ氏は厳格な移民規制や難民政策、犯罪・治安対策強化を唱え、リフォームUKは政党支持率で与党・労働党や保守党を抑え、ダントツの首位に立つ。

これこそポピュリズムが産み落とす究極のマッチポンプと言うべきか。メディアと政治はいつの時代も奇妙な螺旋を描き、その行き着く悲劇は歴史が教えてくれる。

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