コラム

中国「スーパー大使館」構想が、英中の外交問題に...建築図面「黒塗り」部分の開示をめぐり応酬

2025年08月07日(木)20時31分
中国の在英メガ大使館がスパイ疑惑で問題に

中国のメガ大使館構想に反対するデモ(ロンドン、6月15日) Joao Daniel Pereira/Sipa USA via Reuters

<ロンドンで欧州最大の巨大な大使館建設を計画する中国だが、スパイ行為への懸念が高まる中で一部のエリアが黒塗りされた図面を提出したことに批判が>

[ロンドン発]英国のアンジェラ・レイナー副首相は8月6日、中国がロンドンのロイヤル・ミント・コート(旧造幣局跡地)に建設を予定している欧州最大の「スーパー大使館」(敷地面積2万2200平方メートル)について2週間以内に追加情報を提出するよう求めた。

同日付の英紙ガーディアンや英大衆紙デーリー・メールの報道によると、レイナー副首相は在英中国大使館に宛てた書簡で、建築許可を出す前に一部の図面が黒塗りされた理由を説明するか、黒塗り前の図面を提出するよう求めている。

香港と新疆ウイグル自治区の人権問題を憂慮する地元住民や活動家の抗議活動が数カ月にわたって繰り広げられる中、スターマー英政権は9月9日までに建築を許可するかどうか結論を出す。スーパー大使館の図面は地下室やその他のエリアが黒塗りされている。

移設担当の会社に黒塗りの根拠を説明するよう要請

レイナー副首相は黒塗りされた図面が建築許可の対象となる内容を国民は把握する必要があるという原則に反している恐れがあると疑問を呈している。このため、スーパー大使館の移設計画を担当するコンサルタント会社に図面の一部を黒塗りした根拠を説明するよう求めた。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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