コラム

ヘンリーとメーガン夫妻、ネットフリックスとの複数年契約は252億円?

2020年09月08日(火)11時35分

今をときめくネットフリックスは、現代のシンデレラ、メーガンが与える夢に賭けた Hannah McKay-REUTERS

[ロンドン発]英王室を離脱したヘンリー・サセックス公爵(35)=王位継承順位6位=とメーガン夫人(39)が米動画配信サービス、Netflix(ネットフリックス)と複数年契約を結んだ。制作費を出してもらう代わりにドキュメンタリーや長編映画、子供向け番組を供給する契約だ。

PRの専門家は英大衆紙デーリー・ミラーに、複数年契約で2人が手にするおカネは3700万~7500万ポンド(約52億~105億円)、成功報酬が支払われると合わせて1億8000万ポンド(約252億円)になるとの見方を示しているが、はっきりした数字は公表されていない。

生き馬の目を抜くハリウッドでキャリアを築いた元女優のメーガン夫人。彼女が王室離脱を急いだのは、映画とテレビドラマのストリーミングサービスが世界に普及し、ハリウッドが激変する千載一遇のチャンスをみすみす逃したくなかったことも一因だろう。

Netflixの会員は世界で1億9200万人。2011年の2150万人に比べると実に約9倍の急成長だ。年間売り上げは226億ドル(約2兆4000億円)。新型コロナウイルスで"巣ごもり視聴"が激増し、ライフスタイルの転換が加速することを見越して株価は一時2倍近くに高騰した。


「ブラック」が格好良いトレンドに

米白人警官による黒人男性暴行死事件に端を発した黒人差別撤廃運動「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切だ)」は世界中にアッという間に広がった。リベラルで反トランプのハリウッドはこの運動を全面的に支持している。

キャストや製作スタッフの大半が黒人というスーパーヒーロ映画『ブラックパンサー』(2018年)が世界的に大ヒットし、ブラックパンサーを好演した俳優チャドウィック・ボーズマンが大腸がんで夭逝すると英BBC放送はトップニュースで取り上げた。

そしてアメリカ独立戦争の総司令官ジョージ・ワシントンの副官を務め、初代財務長官に就任したアレクサンダー・ハミルトンを主人公にしたヒップホップミュージカル『ハミルトン』が映画製作会社ウォルト・ディズニー・ピクチャーズによって映画化され、注目を集めている。

実在する白人役に黒人など非白人の俳優を起用した異色の作品であることがポイントだ。友人の映画プロデューサーは「とにかくブラックやマイノリティーであることがトレンディーで、大ヒットする時代です。この業界では今や白人であることがハンディキャップ」と語る。

目指すはオバマ前米大統領とミシェル夫人

ヘンリー公爵とメーガン夫人が目標にしているのはアメリカ初の黒人大統領バラク・オバマ前米大統領とミシェル夫人。夫妻もNetflixと複数年契約を結び、2018年に製作会社「ハイヤー・グラウンド・プロダクションズ」を立ち上げている。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

USMCA見直し、前倒しなら貿易政策クリアに=メキ

ワールド

中国主催のイベントに台湾と外交関係持つ2カ国が参加

ビジネス

SUBARU、今期の業績予想未定 関税などで「合理

ワールド

イスラエルの新たなガザ人道支援案、国連が非難 民間
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 3
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」にネット騒然
  • 4
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 5
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 6
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 7
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 8
    「奇妙すぎる」「何のため?」ミステリーサークルに…
  • 9
    トランプは勝ったつもりでいるが...米ウ鉱物資源協定…
  • 10
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 4
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 7
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 8
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story