コラム

ヘンリーとメーガン夫妻、ネットフリックスとの複数年契約は252億円?

2020年09月08日(火)11時35分

Netflixが夫妻に提供した資金は6500万ドル(約69億円)と推定される。ゼネラルモーターズの旧プラントで現在は中国企業が所有するオハイオ州の工場の労使摩擦を描いた『アメリカン・ファクトリー』(2019年)はアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞に輝いた。

今年に入って『ハンディキャップ・キャンプ: 障がい者運動の夜明け(Crip Camp)』、ベストセラーになったミシェル夫人の回想録のブックツアーを記録した『ビカミング(Becoming)』とドキュメンタリー映画を次々とNetflix上で公開している。

フェイスブック(F)、アマゾン(A)、グーグル(G)と並んで「FANG(ファング、牙)」と呼ばれるようになったNetflixのリード・ヘイスティングス会長兼共同最高責任者(CEO)は「ストリーミングの百年帝国」を目指している。

「希望を与えるコンテンツを作る」

ライバルのディズニープラス(Disney +)、アマゾン・プライム・ビデオ、HBO Max、Hulu(フールー)との争奪戦に負けると「ストリーミングの百年帝国」は覚束なくなる。252億円が本当だとしたら「百年帝国」の礎となる先行投資として2人にそれだけの価値があるということだ。

Netflixの共同CEO兼最高コンテンツ責任者テッド・サランドス氏は「ハリー(ヘンリー公爵の愛称)とメーガンは世界中の何百万人もの人々に影響を与えてきた。彼らがNetflixをクリエイティブホームに選んだことを信じられないほど誇りに思う」と胸を張った。

オバマ夫妻より高い値がつけられたヘンリー公爵とメーガン夫人は「私たちの焦点は情報を提供するだけでなく希望を与えるコンテンツを作ること。他に例を見ないNetflixの視聴者へのリーチは、インパクトのあるコンテンツを共有するのに役に立つ」との声明を発表した。

ヘンリー公爵とメーガン夫人もオバマ夫妻と同じように製作会社を設立し、すでに自然ドキュメンタリーや人々を鼓舞する女性を祝福するアニメの製作に取り掛かっている。2人は作品に登場する可能性はあるものの、メーガン夫人の女優復帰はないという。

王室ものはキラーコンテンツ

エリザベス女王を主人公にしたNetflixの『ザ・クラウン』シリーズは7300万人が視聴。英王室ものは何と言ってもキラーコンテンツの一つ。英大衆紙デーリー・メールによると、ダイアナ元皇太子妃のドキュメンタリーも2人の契約に含まれている可能性があるという。

白人の父とアフリカ系の母の間に生まれ、白人帝国主義のレガシーである王子さまと結婚。しかし「自由」を見つけるため、伝統に雁字搦めの王室から王子を連れて逃げ出したメーガン夫人はまさに現代版「悲劇のプリンセス」。オバマ夫妻より高い値がついて何の不思議もない。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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